柏レイソルのネルシーニョ監督が19日、オンラインで取材に応じた。新型コロナウイルスに罹患が判明し、今月2日から10日間入院していたが、18日のトレーニングで復帰。明日21日のサガン鳥栖戦で指揮を執る指揮官が、心境を語った。

上写真=オンライン取材で元気になったことを報告するネルシーニョ監督(写真◎スクリーンショット)

ただ嘆いても仕方がない。前を向いて進む

「元気です。おかげさまで順調に回復して、症状が出てから数日間は高熱に見舞われたんですが、もう現場にも復帰しています。見ての通り元気です。いろいろご心配をおかけして、すみません。みなさん、ありがとう」

 今月2日の症状が出てPCR検査の結果、新型コロナウイルスに罹患していることが判明。翌日から入院していたネルシーニョ監督は18日からトレーニングに復帰した。オンライン取材に応じた指揮官はまず、多くの激励に感謝の意を示し、心配させたことを謝罪した。

 チームの活動再開とともにトレーニングにも復帰。本人いわく「ベストよりも3キロ体重が減ったが、体調はいい」という。明日21日には早速、ホームで鳥栖戦を迎える。準備期間はほとんどないが、「非常に順調にここまで準備できています。実質、今週からチームとしての活動を再開したわけですが、思っていた以上に選手が意欲的にゲームに向けてトレーニングに励んくれています。次の試合に向けていい準備ができているんじゃないかと思います。次の試合からわれわれのミッションをしっかり果たせるようにやっていきたい」と意欲を示した。

 感染対策を徹底してきたはずの柏で起こった今回の集団感染について、指揮官は乗り越えるべき障壁ととらえている。

「残念ながら今年は不測の事態に見舞われて、これから先も予期せぬことが起こり得ると思います。そんな中で、この状況をただただ残念がったところで改善するかといったらそうではない。今年、ここまでにあったさまざな障壁というものを、われわれはチーム一丸となって乗り越えてきたわけです。この先も色んな障壁が待ち受けているでしょう。それは容易に想像できますが、これまでと同様にしっかりと乗り切って、この1年を耐え抜いたチームとしての姿勢が、来年以降の戦いにつながっていくようにと思っています。
 今、われわれに与えられた試練というものが、一人の選手として、一人の人間として、われわれにとっての人生の教訓として、この先、必ずいい結果、影響をもたらしてくれると思います。今は、ある意味で人類が危機に瀕していますが、嘆げいていても仕方がない。しっかりと前を向いて進んでいこうと、選手には話しました」

 病床から戻ってきた指揮官が口にする言葉には、重みがあった。人生について、そしてもちろんサッカーについて、考えたという。

「人生というのは、これまで歩んできた道があって、これから歩んでいく道がある。実質10日間、保健所の定める時間を病棟で過ごした中で、色々と考える時間ががありました。その中でも、やはり自分は勝ちたいんだと感じた。自分の指導者としてのモチベーションが落ちるようなことは1日としてありませんでした。このチームに対する決意や勝利に対する意欲は、何ら変わることなく持ち続けています。
 またこうやって職場に、ピッチに帰ってくることができた。個人としてもチームとしても、可能性のある限り諦めることなく、最後まで戦う姿勢を見せたいと思っています」

 新型コロナウイルスによって、一定期間、活動する時間を奪われたが、その情熱までは奪われることはなかった。

 御年70歳。少しだけほっそりしたが、サッカーへの思いも勝利への意欲も何ら変わらないネルシーニョ監督が、帰ってきた。