上写真=川崎Fのキャプテンとして、谷口彰悟は最高の笑顔で優勝を報告することができるか(写真◎Getty Images)
誰も一喜一憂しないチームになりました
自分の手でつかみ取る。だからこそ、価値がある。
川崎フロンターレのキャプテン、谷口彰悟はそう信じている。J1もいよいよ大詰め。川崎Fが11月21日の大分トリニータ戦に勝てば、ついに優勝が決まる。
「自力で勝てば優勝、というシチュエーションを作れたのは自分たちの力だし、今季ずっとトップに立って、勝ち続けて、優勝まで向かっていくことは目標としてやってきたことです。自分たちでこういう状況を作ってきたのは幸せなことです」
開幕から勝ち点を積み重ねて、10連勝、12連勝の記録を作りながらたどり着いた王手。いまここで、自分の手で栄冠をつかまなければ意味がない。
「2位と勝ち点差は10以上ありますけど、これも自分たちが積み重ねてきた結果、広げているわけです。でも、この貯金があるからということで優勝を待つというか、試合数が少なくなれば決まることもあって、でもそういう優勝の仕方は嫌だなと。最後の最後まで突き抜けて優勝したい気持ちはみんな強いので、優勝は待つのではなくつかみ取りにいかなければと思っています。優勝ってそういうものだし、これからもそういう姿勢をずっと続けられればいいなと思っています」
徹底的に勝つ。そして、リーグの頂点に立つ。その強気な姿勢を行動で表現したところに価値がある。
「プレッシャーを感じないかと言ったらみんな多少は感じると思いますけど、それも含めて楽しめるぐらいの精神状態まで持っていければ最高です。個人的にはプレッシャーは感じる必要はないと思っているし、チームとしていつも通り、一戦必勝でやりたいと思います」
優勝を目の前にして平常心で臨む。最後に、最大の難問に挑戦することになる。
「でも、何かがかかった試合は思った通りにいかないですからね。チームとしてではなくて、個人的には相当プレッシャーをかけてやってもいいぐらいに思っています」
今年はキャプテンに就任して引っ張ってきた。自分にプレッシャーをかけるという点については、就任当初に掲げた自分への誓いでもあるのだ。
「キャプテンをやるということになってから、決め事じゃないですけど、ちゃんとやろうと思っていたのは、どんな状況だろうとどんな雰囲気だろうと、自分が率先して行動すること、行動し続けるというところでした。それはやり続けたつもりですし、チームとしてはしんどい時期もあって、連勝して名古屋に負けたそのあととかは連戦でもあって肉体的にも精神的にも、正直きつかったんです」
「ただすぐに試合が来るわけで、じゃあそのときにどうしていくかを考えたときに、チームで切り替えることの前に、自分が切り替えてその姿勢を見せなければいけないと思ったんです。常に次に向かっているところを示していかないといけない、と。それをやり続けて、その結果…というか、みんなもそういう気持ちだったんでしょうけど、誰も一喜一憂しないチームになりました。今年はそうやって結果が出ました」
いくら勝ち点差が開いても、連勝記録を2度も達成しても、しんどいものはしんどいのだ。目指す場所が高いから。
「勝利に対するモチベーションは変わっていません。やっぱり勝ちたい」
そんな思いは報われるまで、あと少し。
「常に先頭を走っていきたい、という思いが体現できているので、このまま最後まで突っ走りたい気持ちが強いです」
実現したそのときに、キャプテン・谷口彰悟が天高くシャーレを掲げる。