上写真＝1人少なくなっても、エリキが守備にも奮闘した上でカウンターを仕掛けた（写真◎J.LEAGUE）
■2020年11月18日 J1リーグ第30節（@等々力:観衆11,099人）
川崎F 3-1 横浜FM
得点者：（川）三笘薫、ジェジエウ、小林悠
（横）畠中槙之輔
「みんなを誇りに思います」
川崎フロンターレとの第30節は、40分にGK高丘陽平が退場したことで数的不利のまま戦うことになった。1人少なくなった方のチームがより集中力を研ぎ澄ませて劣勢をはね返すことは、サッカーの世界ではよくある話。しかし、それにしても、この日の横浜F・マリノスは凄まじかった。
アンジェ・ポステコグルー監督が「今日の試合はレベルが高かった。退場は我々のミスで、1人減った中で難しかったが、自分たちが最後まで貫いた姿勢を見せることができました」と敗戦にも手応えを得て、敵将の鬼木達監督も「本当にマリノスもそうですし自分たちも強度高くやりました。さすが昨年のチャンピオンだな、これからACLに戦いに行くチームだなと感じました」と称えた90分。結果的には1-3で敗れてしまうのだが、いつ壊れてもおかしくなかったゲームをレベルの高いものに押し上げたのは、横浜FMの選手たちのハイクラスの集中力があったからで、その中心にエリキがいた。
「とてもレベルの高い試合でした。両チームとも素晴らしいレベルを持っていて、それに値する試合をしたと思います。今日はみんなを誇りに思います」
特に後半は、エリキが中盤のラインまで下がって粘り強く守備のタスクをこなし、ボールを奪うとそのスピードで相手陣内深くまで飛び出していってカウンターの急先鋒になった。75分には絶好のチャンス。右サイドをジュニオール・サントスが抜け出してペナルティーエリアの中まで持ち込み、ゴール前で待ち構えたエリキはマークにつくジェジエウから離れるようにバックステップすると、そこに最高のパスが届いた。右足のインサイドでていねいに送り出したはずのボールはしかし、ほんのわずか左に切れていってしまった。思わず頭を抱えて天を仰ぐ…。
それでも、89分までは攻めの姿勢を失わずに1-1で乗り切ったのだから、胸を張っていいだろう。90分と90＋5分に決められてしまったが、「誇りに思えるゲームです。チームみんなで戦いました」と前を向いた。
「負けたのは残念ですが、次の目標に向かってチーム一丸となって臨みたい」
「負けたかもしれないけれど、これでよりチームが一皮むけて、また強くなったと感じました。このようなレベルの高い試合をみんなで戦ったことで、ACLでいい入りができると思います」
次の目標はもちろん、アジア・チャンピオンズリーグ制覇だ。11月25日からカタールで集中開催される決戦を前に、川崎Fとの最高のゲームを戦い抜くことができた自信がみなぎる。
「期待は大きいですし、1試合1試合を決勝だと思って戦いたいと思います。私たちには能力の高い選手が揃っていますし、偉大な監督もいます。思い切りそれをぶつけたい」
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE