明治安田生命J1リーグ第27節でセレッソ大阪が清水エスパルスに1-3で敗れた。序盤から何度もチャンスを作ってゴールに迫りながら、決めきれなかった。豊川雄太は3試合連続ゴールの好調を持ち込みたかったが、ある違和感に囚われていた。

上写真=迫力を持って前線に進出していった豊川雄太。攻撃をリードした(写真◎J.LEAGUE)

■2020年11月14日 J1リーグ第27節(@アイスタ:観衆6,076人)
清水 3-1 C大阪
得点者:(清)ヘナト・アウグスト、中村慶太、カルリーニョス・ジュニオ
    (C)清武弘嗣

「まだ7試合あります」

 前節の大阪ダービーの激闘から中10日。しっかり準備の期間を取ることができた。それをピッチの上で発揮できた。しかし、負けた。

 セレッソ大阪のロティーナ監督ほどの智将が「説明が難しい試合」と嘆いた90分。前半からボールを支配し、チャンスを作り、シュートを放った。しかし、清水エスパルスに1-3。

 3試合連続ゴールを挙げて意気軒昂なFW豊川雄太は、シュートはたったの1本だった。

「ボールを触れるシーンは多かったんですけど」と豊川。「逆を言えば僕が触ってるなというシーンが多くて」

 豊川と奥埜博亮の2トップは推進力が売りだ。片方が大きく動きながらスペースを突き、空いた場所にもう片方が潜り込んでいく。そこに自慢のサイドハーフ、坂本達裕と清武弘嗣が絡んでいく。サイドバックの松田陸、丸橋祐介も加勢して、14分に丸橋、19分に奥埜、22分に豊川が狙っていった。

 だが豊川の中では、たくさんボールに触ったことで逆に、違和感が生まれていた。

「ゴール前に顔を出す機会が少なかったと、やりながら感じていました。ゴールから離れた起点作りも大切ですが、それが多かったと感じています」

 前線の高いところで攻撃の起点を作るまではOK。でもそれが、ゴールから離れてしまう遠因になっていたというわけだ。ゴール前の嫌な場所に陣取っていなければ、恐ろしいストライカーにはなれない。バランスが難しい。

「チームとして、最後のゴール前の質を高めないといけないですね。何度も言っていますけど、パスを出せる選手がうちにはたくさんいるので、僕がもっと要求しないといけないと思います。あと一本、というところは何度もあったので、出し手に要求することが必要ですね」

 しかし、負けてもなお最悪の状況にはなっていない。C大阪が清水に敗れたあとに行なわれた暫定2位のガンバ大阪対ベガルタ仙台戦は、G大阪が0-4で敗れた。川崎フロンターレと引き分けた鹿島アントラーズには勝ち点で並ばれたが、G大阪との勝ち点差6が変わらなかったのは、まだまだチャンスがあることの証ではないか。消化試合数がG大阪よりも1試合、鹿島よりも2試合少ないのだ。有利な条件は揃っている。

「まだ7試合ありますし、チーム全体として一人ひとりが次に向かって改善しなければいけない。ここから緊張感のある試合が続くので、みんなで戦っていきたいと思います」

 自身の連続ゴールは途切れたが、残り7試合のうちホームゲームが5試合も残る。桜色のサポーターとともに最後の猛ラッシュを見せるはずだ。

写真◎J.LEAGUE