明治安田生命J1リーグは終盤に入り、2位争いが熱い。今季の天皇杯出場の権利も与えられるだけに、注目度は高い。その座を狙う名古屋グランパスは攻撃陣に負傷者が相次ぐいまだからこそ、米本拓司が得意のミドルでゴールを誓う。

上写真=「チームは同じ方向を向いている」と米本拓司も一体感を強調する(写真◎Getty Images)

「つなぐだけじゃ勝てない」

 米本拓司の必勝宣言だ。

「ここで勝たないと2位争いに踏みとどまれないと思いますし、ACL(=アジア・チャンピオンズリーグ=の出場権獲得)も厳しくなると思うので、勝たないとダメなゲームです」

 ここ、とはもちろん、11月15日の次節FC東京戦のことだ。米本にとっては古巣戦。今季はJ1リーグで0-1、ルヴァンカップ準々決勝では0-3と連敗していて、どちらも無得点。

「東京相手に先制点を取られると、前節のように堅いサッカーになってしまうので、失点しないことが大事ですね。我慢強く戦うことが一番だと思います」

 その前節はサンフレッチェ広島と対戦して、16分という早い時間に失点したことで、広島にじっくり守ってカウンターを仕掛けるという選択肢を与えてしまった。79分にも1点を失い、まんまと策略にはまる格好に。FC東京も先制したらきっちり守るチームで、まさに1-0で勝利をもぎ取った前節の北海道コンサドーレ札幌戦がそうだった。

 山崎凌吾と金崎夢生を2試合連続で負傷で失ったチームにあって、みんなが攻撃の意欲をさらに高める必要がある。米本の頭の中からイメージはどんどん湧いてくる。

「(広島戦は)もうちょっと選手の特徴を生かせるような攻め方も大事だったかなと思います。逆に相手が持たせてくれる状況になっていたので、自らリスクを犯したくない気持ちがあったかもしれません。そういう場面でもマテウスや相馬(勇紀)の個のスピードという特徴を生かしてあげるようなパスの出し方をしなければ、ボランチとしてはいけなかったと思っています」

「つなぐだけじゃ勝てないし、アバウトなボールでも僕とか(稲垣)祥でセカンドボールを拾えば2次攻撃、3次攻撃につながるので、織り交ぜながらいこうかとイメージしながら練習しようと思っています」

「(受け手が相手と)1対1の状態で放り込んだら、勝ったときにチャンスになりやすいんです。状況によりますけど、ボールを持つだけがサッカーではないと思いますし、相手を引き込ませてカウンターも一つの戦術だと思います。もう一度、相手の狙いや戦術を頭に入れながら、試合で流れを見て一番いい選択をしていきます」

「ボランチがもっと前に関わっていかなければいけないし、関わったときにどういうプレーするかで流れが左右されてもおかしくないと思います。得点に関わるところは意識していますし、いまのチームは守備のベースがあるのでそこをおろそかにしないで、もっともっと前線に顔を出したりサポートできればいいと思います」

「もちろんシュートも、前節のような戦い方をされたときに点が取れたら大きいし、ミドルを打って、こいつに打たれたらヤバいと思われないと相手も出てこないので、いいミドルや印象に残るゴールをどこかで決めないといけないと思います」

 その「どこかで」がFC東京戦であってもおかしくはない。