明治安田生命J1リーグは2位争いが面白くなってきた。今季の天皇杯出場権と来季のアジア・チャンピオンズリーグ出場権を獲得できるだけに、激しさは増すばかり。マッシモ・フィッカデンティ監督も選手とともに戦うことをやめない。

上写真=積み上げてきたことそのものが、チーム変革の証。フィッカデンティ監督は全力で2位の座を取りに行く(写真◎Getty Images)

勝率75%のホームで残り5試合も

 目標としている2位へ向けて、ライバルは多い。11月13日時点の順位表で言えば、2位はガンバ大阪、3位はFC東京で、名古屋グランパスは4位だ。しかし、消化試合数が異なるので、G大阪は1試合、5位で同勝ち点のセレッソ大阪は2試合、名古屋よりも多く試合が残っている。それだけ他のクラブの方にポイントを多く稼ぐチャンスがあるわけで、名古屋は1試合たりとも落としたくない。

 残りはいよいよ6試合で、そのうち12月5日の柏レイソル戦だけがアウェー、それ以外の11月15日FC東京、21日湘南ベルマーレ、28日大分トリニータ、12月12日横浜FC、12月19日サンフレッチェ広島との試合はホームゲームだ。

「ここまで良いシーズンを送ってきましたが、最終結果がより良くなるように戦っていきます。戦力が厳しい状況になっていますが、多くのサポーターの力が本当に支えになっているのは、ホームでの結果を見ると明らかです。残り試合はホームがほとんどなので、いい終わり方ができたらと思っています」

 マッシモ・フィッカデンティ監督はホームのサポーターにそう感謝する。ここまでのホームゲームの戦績は9勝1分け2敗、勝率は75%と確かに好成績だ。一方でアウェーは6勝3分け7敗と負け越している。

 戦力が厳しい、と言ったのは、ここ2試合で負傷者が出ているからだ。しかも2人ともFWで、山崎凌吾がサガン鳥栖戦で、金崎夢生がサンフレッチェ広島戦で負傷した。

「山崎は鳥栖戦から約10日が経過し、試合中にねんざで内側靭帯を痛めていますが、あと2、3試合は難しいけれど今季中には戻れるでしょう。しかし、金崎は今季は絶対に無理です。どういった状況なのかを慎重に正確に把握した上で、治療の方向を決めたいと思います。まだあまりはっきりとした診断を下さずに多くの方に意見を聞きながら、ベストの方向を探っていくことになります」

 FW不在での戦いは楽ではない。しかし、下を向くばかりではない。「好ましい状況ではありませんが、その中でどうやってシーズン終わらせるか」がフィッカデンティ監督の次なるミッションになった。「練習の中で試して、何パターンか選択肢を作ってぶつけていくつもりで、試合の中でも変えられるようにしていきたいと思います。いまのメンバーでできるサッカーの方向性を選手は理解してやってくれていますので、ぎりぎりまでやっていくしかないですね」。新しい挑戦でケミストリーが起こる可能性もある。

 その上で、FC東京に勝ちたい。今季はリーグ戦で0-1、ルヴァンカップ準々決勝で0-3と連敗している。3連敗はプライドが許さない。

「継続してやってきたことに手を加えて、いまのメンバーで作り直しているところですが、どういう風に戦うかという準備は最後のギリギリまで待ちたいと思っています。こちらがどう東京を見ているかというところでは、経験がしっかりあってフィジカルが強いと感じさせます。今季は経験が上回ったシーンで持っていかれたという感じで、サッカーに必要な経験からくるずる賢さも生かして試合をものにしている印象です。そのチームをどう上回るか」

 とはいえ、「最高の準備をして勝つつもりですが、この一戦で根気のすべてを判断するという位置づけにする必要はありません。そのあとも上を狙って戦い続けるわけで、必要のない追い込み方して良くない影響を及ぼすことはないと思います」とこれまで積み上げてきたものが消えてなくなるわけではないと強調するのだ。

「ポジティブなことは多くあると思っています。苦しい中でも積み上げてきた、最後までやりきろうという雰囲気があります。気持ちの面では下を向きがちな状態かもしれませんが、結果を残してきたこと自体が前向きに取り組めている要因です。選手たちからは貪欲さが出ています。もっともっと上に行きたい、という向上心の塊になっていて、いい流れにあります。それをいかに倍増できるかが私の役割です」

 まずはFC東京に借りを返すことから始めよう。