明治安田生命J1リーグはラストスパートの時期。現在3位の名古屋グランパスは、マッシモ・フィッカデンティ監督が掲げる2位を目指して残り7試合に挑む。積み上げてきたことを証明する「数字」の質を上げることが大事だと説く。

上写真=失点は2番目に少なく得点は7番目に多い。これをさらに改善する(写真◎Getty Images)

「広島は本当に素晴らしいチームです」

 0-0で終わったサガン鳥栖戦から「中7日」で次のサンフレッチェ広島戦へと進んでいくスケジュールだ。落ち着いた状態でチームの調整を図ることができるのは、マッシモ・フィッカデンティ監督にとっては大きいだろう。

「本来あるべき形でトレーニングができました。1週間の時間があったらやるべきトレーニングをした上で、徐々に試合に近づいていっているという状況で、それがコンディションにもメンタル的に表れていると思います。しっかりチャージできている状態ですし、試合への緊張感から一度、解放されて、試合に向かってスイッチの入り方が逆にすごくいいなという手応えを感じています」

 広島戦のあとに中3日でFC東京とのゲームをこなせば、ついに長かった連戦が終わる。その後の5試合は週に一度というペースに戻る。

 明るい兆しは、ここ3試合無失点という結果だ。ベガルタ仙台に1-0、鹿島アントラーズに2-0、鳥栖に0-0というスコア。

「今季はどういう選手がいてどういう戦い方をしていくかと当てはめていく中で、どのリーグでも勝つチームというのは失点が少なく、しっかり得点できるという部分で数字がしっかり残せなければいけないわけです。特に失点が少なくなければいけないということはずっと言い続けていますので、その部分を選手がしっかりと理解して、そういうサッカーをしていく必要があります」

 今季は27試合のうち12試合が無失点で、そのうち10試合が勝利。

「数字が出ている要因としては、ディフェンスだけがとかキーパーだけがというわけではなくて、全員が守備に参加しているからです。失点がリーグで2番目に少なく、得点も真ん中より上で、しかも得点者が多いので、全員が守備をして全員が点を取りに行くサッカーが数字に出ています。このサッカーをグランパスが取り組み始めたのはまだ1年目ですが、より順位を上げるためにどう変わっていくか、どういう質になるのかはまだまだ極めていかなければと思っています。ただ、手応えを感じる数字ではあります」

 失点は川崎フロンターレの22失点に次ぐ25失点、39得点はリーグで7番目の多さだ。得失点差も2番目にいい数字で、取り組みがポジティブな結果を示している。

 フィッカデンティ監督が宣言した「2位確保」を巡っては、ガンバとセレッソの大阪勢が難敵になりそうだ。どちらも消化試合数が名古屋よりも1試合少ない状態で、勝ち点49で3位の名古屋に対して2位のG大阪は52、4位のC大阪は49。残り7試合で取りこぼしが許されないシビアな戦いが続く。

 そして次の相手はサンフレッチェ広島。フィッカデンティ監督は最大級の警告を発している。

「広島は本当に素晴らしいチームです。今季を通して毎試合毎試合、素晴らしいプレーの連続だと思って見ています。本来やっているサッカーがあるけれどできなかった、ではなくて、やっているサッカーがこれだけいいのにツキがなくて勝ち点を落としているという状況に見えます。だから、彼らがやっているサッカーをうちの選手に理解させた上で、準備をしっかりとしていかなければなりません」

「広島も上位にいなければいけない内容のサッカーやっていると評価しています。強度も内容も伴ったいいプレーができないと勝てないでしょう。個人の良さが集まっているという意味でもそうですが、チームとして動けていて、素晴らしく指導されているチームだという印象がありますので、チーム力も負けてはいけないと思います。全員がチームのために、ワンプレー、ワンプレーにどんな意味があるのかを強く意識した上でプレーできるのかが大事になります」

 まずは「素晴らしい広島」に無失点を続け、得点を挙げて勝利を奪い取り、勝ち点を上乗せした上で、「数字」を改善していく。