清水エスパルスは柏レイソル戦で3バックから4バック(4-3-3)に戻して戦った。久々の出場となった金井貢史は左サイドバックとしてフル出場を果たし、無失点の実現に貢献。試合後には収穫と課題について語った。

上写真=16節の鹿島戦以来の出場となった清水の金井(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月31日 J1リーグ第25節(観衆2,720人/@三協F柏)
柏 0-0 清水

前線からうまく守れていた

 16節の鹿島以来の出場だった。ポジションは、チームが久しぶりに採用した4バックの左。右も左もチーム事情に合わせて務められるのが、金井の強み。その万能性でチームを支えている。前回、柏とホームで対戦した際は右で出場していた(14節)。

 過密日程の中、この試合の前に2週間の準備期間があった清水は守備の整備に時間を割いた。金井はこの日の試合でバランスを取りつつ、堅実にプレー。その結果、守備ではチームとして今季3試合目の無失点を実現した。

「前線からチームとしてうまく守れていたと思います。ピンチはありましたが、選手全員が声をかけ合って集中してできた。これがベースにならないといけない」

 金井の言う通り、集中力は最後まで切れなかった。後半は柏に攻め込まれる時間が長く、相手のミスに助けられた面もあったが、ゼロで抑えたのはチームにとって大きな収穫だった。現在の失点54はリーグワースト。圧倒的なボール保持で守備機会そのものを減らすことをチームコンセプトとしており、チーム作りを進める過程においては仕方のない面もある。ただ、ボールを取り返すことができなければ、そもそもボールは持てない。それゆえに手簿の立て直しを図って試合に臨み、無失点という結果を出した意味は大きかった。

 ただし、無失点を実現した一方で、攻撃ではノーゴールに終わっている。アウェーで勝ち点1を手にすることになったものの、金井は試合後に自戒を込めて口にした。

「しっかり反省しなければいけない。チャンスがなかったわけではないですが、チャンスが来たときに決め切る力をつけないと。今日に関しては、コースを狙えば入るようなシーンも何度かあったし、そこはチーム全員が練習からもっとやっていかなければと思います。やっていないわけではないので、それをしっかり試合に出せるように、もっとチャンスを作っていきたい」

 金井が振り返るように、チームとして何度かビッグチャンスを生み出した。しかし、シュートが相手GKの正面に飛んだり、うまくボールをミートできなかったり、結果、ネットを揺らすことができなかった。金井自身も、70分にボックス付近まで攻め上がり、ヘナト・アウグストのパスを受けて絶好機を迎えている。だが、出し手と受け手のタイミングが合わず、金井は体勢を崩して、その後の攻撃にうまくつなげなかった。蹴りそこなったボールは、力なく相手GKにキャッチされている。

「勝ち点3を取れなかったですが、チームとしては取り切らなければいけない試合でした。ただ、自分たちは準備する時間があって、その間に守備の確認もできていた。その点はうまくできたと思います。これをベースに続けていかなければいけないと思っています」

「守備でゼロに抑えたら、今度は点を取らなければいけない。チームとして点を取って勝つことを目指して、これからもやっていきたいと思います」

 柏戦は手応えをつかみ、同時に課題をはっきりと認識する試合にもなった。チームにとって、そして金井自身にとっても、次のステップへ踏み出すための機会になったと言える。