上写真＝2アシストのオルンガ（左）と2ゴールのクリスティアーノ。またコンビネーションが上がってきた（写真◎J.LEAGUE）
■2020年10月28日 J1リーグ第30節（@味スタ:観衆6,632人）
FC東京 1-3 柏
得点者：（東）アダイウトン
（柏）江坂任、クリスティアーノ2
長谷川監督「この借りは決勝で返すしかない」
その瞬間、中央にギャップができた。柏のクリアボールを中央で前に出て競ったのがFC東京のセンターバック、渡辺剛。頭に当てたボールは前方向へのクリアにできずに柏の攻撃方向にこぼれる。渡辺が前に出た分、もう一人のセンターバック森重真人との距離が開いた。そのギャップで拾った仲間隼斗が森重を抜き去ってから、力のこもったミドルシュートを放った。GK波多野剛が弾いたものの、こぼれたところを抜け目なく狙っていた江坂任が左足で押し込んだ。28分、柏先制。
10日後に行なわれるルヴァンカップの決勝戦と同カードで、メンバー構成から戦い方まで、どんな駆け引きが繰り広げられるか注目されたが、序盤は一進一退。FC東京がレアンドロとアダイウトン、柏がオルンガとクリスティアーノと攻撃陣に強力な外国人選手を揃えるだけに、素早い攻撃はそれぞれの持ち味。ボールを奪ってから直線的にゴールを目指すスピードはどちらも速かった。
序盤はFC東京が前線深くまでボールを運んで、右サイドサーフの原大智、左サイドバックの小川諒也が出ていった。柏も逆襲し、23分には右からの北爪健吾のクロスにオルンガがヘッドで合わせるとバーをなめるようにして外れたが、どちらにゴールが生まれてもおかしくない中で、冒頭のように柏が先制したのだった。
後半開始から1分しないうちに、FC東京のバックパスミスからオルンガがつなぎ、クリスティアーノが流し込めば、49分にはFC東京がFKの流れから最後はアダイウトンがヘッドで押し込んで1点を返す。少し慌ただしい後半の入りとなったが、再び1点差に戻ってゲームは進んでいった。
FC東京がエースのディエゴ・オリヴェイラと中盤のダイナモ、安部柊斗を投入したのは58分のこと。明らかに1点を奪いにいく狙いだったが、逆にゴールを決めたのはまたも柏。75分に同じくオルンガの左からのパスを中央で受けたクリスティアーノが鋭く叩き込んで、試合を優位に進めていった。
試合は徐々にオープンな展開になりながらも、球際の激しさはどちらも衰えず、緊張感は最後まで続いた。結局、「前哨戦」はこのまま柏が3-1で勝って、連敗を2でストップした。ネルシーニョ監督はもちろん、満足のコメント。「スピードがあってコンパクトな陣形を保ち、攻撃的なサッカーを展開してくる相手に対して、そのストロングをうまく消しながらニュートラルにして、全体でインテリジェンスを働かせながら戦うことができました。スペースを消して、ボールを引っかけて空いたスペースを突いて効率よく攻撃を仕掛けられました」と快勝を喜んだ。
FC東京はこれで3連敗。長谷川健太監督は「勝つつもりで戦いましたが、残念な結果だと思います。この借りは（ルヴァンカップ）決勝で返すしかないと思いますので、ここから2週間弱、しっかりといい形で決勝に臨める準備をしていきたいと思います」とリベンジを誓った。
現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE