キャプテンの谷口彰悟の出番だ。明治安田生命J1リーグで川崎フロンターレは「中12日」というスケジュールなのだが、間隔が長くなったことでゆるみも心配だ。でも、大丈夫。キャプテンの谷口が「それが僕の仕事」と引き締めを担う。

上写真=12連勝の記録更新がかかるFC東京戦だが、「勝たないことには始まらない」と目の前の相手にフォーカスする(写真◎スクリーンショット)

「悔しい敗戦は記憶に新しい」

 川崎フロンターレは10月18日の前節名古屋グランパス戦から31日の次節FC東京戦まで中12日というスケジュール。連戦を乗りきりながら首位を独走したご褒美というわけではないが、選手たちにはオフが与えられ、それぞれにリフレッシュした。そしていよいよ、リーグ優勝を決めきるための、いわばホームストレッチに入っていく。

「久々に間が開いて、最初はきちんと休むこともできました」とキャプテンの谷口彰悟。そう言われれば、表情がすっきりしたようにも見える。

「そこからトレーニングでもう一度、一つひとつのクオリティーのベースを上げていきたいということで、技術的なところの向上、当たり前のことを高いレベルでやることを追い求めています」

 これまでの連戦の中では、なかなか細かい部分の調整に当てる時間がなかった。しかしおよそ2週間という貴重な時間の中で、圧倒的な強さで首位を突き進むチームがさらにもう一段階も二段階も進化しようとウズウズしている思いがにじみ出る。

 次の相手がFC東京だということも、気持ちの面では大きいかもしれない。

「週末はFC東京が相手なので、そこに向けて進めています。すべてはクオリティーだと思っています。相手がどう出てくるか分からないけれど、自分たちがどういうサッカーをしたいかを突きつめていくつもりで、そういう雰囲気はチームに出ています」

 ルヴァンカップ準決勝で敗れた相手だ。谷口はその試合直後も、そしてこのオンライン会見でも「完敗」と同じ言葉を口にした。それだけ強烈な黒星だったのだ。

「ルヴァンカップの悔しい敗戦は記憶に新しいですし、完敗したなというゲームだったので、そこのリベンジマッチというか。そこは、僕だけじゃなくてみんな思っていることだと思います。強いチームに対して相手がどう出てきてもどう対策してきても、それを上回る技術も判断力もフィジカルも、もう一度高めていきたいという気持ちが強いので、相手ありきですけど、自分たちの向上、成長という意味では常に追い求めていきたい部分です。そこはバランス良くというか、自分のところと相手のところと両方取り組めていると思います」

 技術、判断力、フィジカルの向上を進めているとなれば、あとはメンタルだろう。厳しい連戦のあとの「長期休暇明け」になるから、試合の入りは重要になりそうだ。

「およそ2週間、開きましたし、FC東京は連戦を戦っていて緊張感は保てていると思います。徐々に週末に向けて、ゲームモードに上げていかなければいけないですし、それをやっていくのが僕の仕事だと思っています。大事な一戦だよという雰囲気を作らないと、ゆるいとそのままゲームに出ちゃうこともありますから。どれだけ大事なのか、言葉でなのかプレーでなのかはまだ分かりませんけれども、しっかり伝えて週末に向けて作っていきたいと思います」

 その点では「リベンジ」という意地をかけた一戦であることがプラスに働きそうだ。残りは10試合。川崎Fの選手たちには、優勝を手に入れるという今季最大の勝負が待っている。