明治安田生命J1リーグ第24節のセレッソ大阪戦で、浦和レッズの左サイドバックに久々に山中亮輔が先発で入った。すると、44分に得意のミドルシュートで逆転してみせたのだ。守備でも「リベンジ」を果たして勝利も手にする90分だった。

上写真=久々の先発で目に見える結果を残した山中亮輔。まだまだ切磋琢磨だ(写真◎URAWA REDS/J.LEAGUE)

■2020年10月24日 J1リーグ第24節(@埼スタ:観衆12,863人)
浦和 3-1 C大阪
得点者:(浦)興梠慎三、山中亮輔、マルティノス
    (C)豊川雄太

「力まず枠に入れようと」

 山中亮輔はとにかく結果がほしかっただろう。

 9月30日の第29節FC東京戦から5試合続けてベンチスタートで、10月24日のこのセレッソ大阪戦が6試合ぶりの先発になったのだ。しかも、左サイドバックのポジションを争う宇賀神友弥が出場停止だったことも影響している。つまり、山中が奪い返すには、目に見える結果が必要だった。

「なかなか出られない中で、今日は(宇賀神の)出場停止もあって出ました。自分が出て負けるのは嫌だったので、結果が出てよかった」

 まずは一安心である。

 結果とは、チームの勝利はもちろん、自らのゴールもだ。28分に先制されたものの34分に興梠慎三がPKを決めて同点として、その勢いを確実なものにするために山中が得意の左足を鋭く振った。44分のことだ。

 右からの長澤和輝のクロスを相手がヘッドでクリアしたボールが足元に届いた。スペースがあったから大きめにトラップして、しっかりと踏み込んでシュート。これが相手に当たってコースが変わる幸運もあって、ゴールに飛び込んだ。逆転だ。

「本当にまずはうれしかった。埼スタで取れたので気持ちよかったです」

「トラップしたときに時間があって、フリーだったので余裕を持って狙えました。力まずに枠に入れようと意識して蹴って、(相手に当たって)ラッキーな形でしたけど結果が出てよかったです」

 もう一つ、守備でも結果を残したかっただろう。前回対戦した9月5日の第14節は0-3で完敗しているが、個人的にも苦々しい思いがある。対面の坂元達裕に目の前でクロスを送られて先制されると、またも坂元にキックフェイントで軽々と突破されてから最後はオウンゴールで2点目を奪われたのだ。

 そしてこの日も、坂元と対決。

「マッチアップした選手には、アウェーでやられたのですごく意識しました。でも、僕だけではなくみんなで協力して守ろうとしていたので、それもあって守れたと思います」

 この日は坂元はほとんど得意のエリアでボールを受けることができずに、73分に交代するまで沈黙したままだった。

 浦和はそのときのうっぷんを晴らすかのように、最後まで攻めの姿勢を貫いた。

「点を取っても変わらずにいこうと話しています。奪ったあとのカウンターは終盤にも出ていましたし、走れているので、縦にスプリントすることはこれからもやっていきたいと思います」

 3つの結果を残した秋の夜。山中は再び、宇賀神との激しいポジション争いで自らを高めていく。

取材◎平澤大輔 写真◎URAWA REDS/J.LEAGUE