明治安田生命J1リーグ第23節で、川崎フロンターレの10連勝を止めるべく挑んだ名古屋グランパスだが0-3で敗戦。しかし、そこから得た手応えは想像以上のものだったようだ。マッシモ・フィッカデンティ監督が手にした自信とは。

上写真=川崎F戦は敗れたが、自信の種があちこちにあった(写真◎Getty Images)

「持ち越すべき材料だらけだった」

 負けの中にも光明があって、それが多ければ多いほど次へ向かう推進力は高まる。J1第23節の川崎フロンターレ戦はそんなゲームだったと、マッシモ・フィッカデンティ監督は振り返る。

 スコアは0-3。3つの失点がすべてセットプレーからで、「失点の中にミスがあった」とフィッカデンティ監督も認めるものの、「スコアがそのまま試合内容を反映しているかというと、もちろん求めるのは結果ですけれど、あれだけの内容であのスコアは選手にとって重いかな」と分析している。

「試合全体を通して集中のレベルが悪かったかといえばそうではないし、むしろ集中していないとできない戦い方をしていました。川崎も感覚としては、前半に点が入らないままハーフタイムに入っていたら何か手を打たなければいけないだろう、という状況に追い詰めることができて、嫌な感触を与えた手応えもあるので、もったいないなと」

 だから、敗戦のネガティブな側面よりもポジティブな点に目を向けることができる。

「0-3という敗戦だったけれど、次の試合に向けて根本的に建て直さなければいけないというよりは、持ち越すべき材料だらけだったと思います。だから次の試合に対してもポジティブで、そこに悔しい気持ちが上乗せされて、気持ちの面でもプレー内容でも充実した試合になるのではと手応えを感じています」

 それは、ここまでのチーム作りに相応の自信があるからに他ならない。

「自分たちは取るべきポジションを取って、ディフェンスラインからどうボールを動かして、スピードやテクニックを持つ前線の個が生きる形に持ち込めるか、そしていやらしいところにボールを入れられるかが形になっていますし、相手の対応のさらに裏をかくことを今年の頭からずっと取り組んできました。川崎戦でもそれができなかったかと言うと、負けていませんでした。川崎に対しては今季、うちしか土をつけていないし、そういうことができる時間があったから、それをどれだけ長くやれるかだと思います」

「この前は相手が相手なので(その効力が)薄まったけれど、そのスタイルは川崎相手でもより熟してくれば勝機もあるだろうし、圧倒できる時が来るだろうという感覚を得ました」

 川崎F戦は結果的に、ここまで積み上げてきたもののパワーを評価する場になったのかもしれない。

 だからこそ、次の試合はしっかり勝ちたい。相手は横浜F・マリノス。

「対戦相手にとってゴール前を守らなければいけないと感じさせるように縦に縦にボールを送って、相手陣地の中で多くプレーして、さらに多彩な攻撃を持つのがマリノスの強さです。だから、この部分を対策しよう、と私が限定すると、それ自体がミスになるでしょう。相手はあらゆることをやってくるし、そこに対してすべてを前もって準備することはできないので、ベースを作ってどんなことをされても対応するのが大切なのかなと思います」

「いつも通りに、目の前の試合でどうするべきかを謙虚な姿勢でやっていくべきで、ベストを尽くすということをやっていきたい」