明治安田生命J1リーグ第23節でセレッソ大阪が横浜F・マリノスを迎えた一戦は、4-1という大差がついた。勝利を収めたのはホームチーム。66分からピッチに入った豊川雄太が3点目と4点目を決めて勝利に大きく貢献した。

上写真=途中交代で2ゴール。豊川雄太が大きな仕事をやってのけた(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月17日 J1リーグ第23節(@ヤンマー:観衆6,870人)
C大阪 4-1 横浜FM
得点:(C)奥埜博亮2、豊川雄太2
   (横)水沼宏太

「これからは全部勝ちにいきます」

「リーガ・エスパニョーラで決めていたとしても、素晴らしいゴールと言われたのではないでしょうか」

 セレッソ大阪のスペイン人指揮官、ロティーナ監督がそう称えたのは、3-0とリードを広げた豊川雄太の71分のゴールだ。

 右サイドバックの片山瑛一が自陣からロングパス、うまく抜け出した豊川とぴたりと合って、右足でワントラップしてから2バウンド目にボールが浮いたところで、うまく右足を当てるようにして蹴り出した。飛び出していたGKの頭を越えてゴールに吸い込まれるゴラッソ。復帰後初ゴールを鮮やかなテクニックで決めてみせた。

「トラップしてドリブルで運ぼうかなと思ったんですけど、顔を上げたらキーパーが出ていたので、打っちゃえと。たまたま入ってくれてうれしかったです」

 そうやって笑ったが、とはいえ、特別に興奮するでもなくこう続ける。

「すごいゴールもそうでないものも一緒、というか、そういう考えなんです。難しさで言うと人生の中でも難しいゴールだとは思います。でも、僕の中では手段とか関係なくて取れればいいので」

 そこに「1ゴール」以上の重きを置かないのはこの人らしい。

 80分にはもう1ゴール決めていて、左からの奥埜博亮の裏へのパスに反応し、相手の前に入ってうまく抜け出して、GKとの1対1を冷静に左に流し込んだ。これで4-0。ゴールショーを締めくくった。

 だが、それでも悔しいと話すのだ。87分に左から高木俊幸が送ってきた斜めのパスにフリーで抜け出すと、DFを中にかわして右足でシュート、のイメージだったが、引っかけられて打てず…。

「2点取った喜びより3点目が取れなかった悔しさがあるんです。でもその悔しさを残したほうが次につながると思います」

 この日の1点目が今季初ゴールだったので「だいぶ遅いですけど、ゴールを取れたことは自信になります」と口にしたが、「今季はちょっとケガがあって貢献できていなかった」という悔いは残ったままだ。だからこそ「これからは全部勝ちにいきますし、僕がゴールを取って勝利に導ければと思っています」と高らかに宣言する。

「自分にしかできないことを、このチームで出していきたい」

 リーグ戦も残りは10試合。カウントダウンに入ってきて、豊川が得意とする「裏抜け」という頼もしい要素がチームに加わった。

写真◎J.LEAGUE