J1第22節のFC東京戦で敗れた清水エスパルスは5連敗を喫することになった。その試合後、MFの金子翔太はチームがいま直面している問題について自身の考えを率直に口にした。真正面からしっかり課題に向き合うつもりだ。

上写真=FC東京戦に先発し、62分までプレーした金子(写真◎J.LEAGUE)

5-3-2はまだ攻守の形ができていない

 シーズン前から積み上げてきたものの延長線上に『今』があるのか否かーー。FC東京戦に敗れ、5連敗を喫した清水の金子は、現在のチームが直面する困難について言及した。

「開幕当初から4-3-3のシステムでスタートして、そういう形での練習したり、実践形式の試合を通して、割と固まっていた部分はあったんですけど、結果がなかなか出なかったので、5-3-2という形にトライするようになって、まだ攻守の形はできていないかなと。いくつかいい部分もあるにはあるんですが、意図的に作っているかといったらそうではなくて、個人個人のスキルのところでどうにかというシーンが続ている印象です」

 結果が出ない中で、9月16日の横浜FM戦からは3バック+2ウイングバック(5バック)を採用している。そこには守備の安定を図るなどさまざまな狙いがあるだろう。クラモフスキー監督が掲げるコンセプト自体に変わりはないものの、その一方でシステム変更に伴う『変化』への適応に時間がかかっているのも確かだ。

 難しいのは今シーズンが連戦続きで、リカバリーしてすぐに試合というサイクルにあり、戦術練習に割ける時間が限られている点だ。加えて、クラモフスキー監督は今季就任したばかりで、チームはまだまだベースを作る途中段階にあった。チーム作りを進めつつ、成績を出していくのは簡単ではない。そのバランスのとり方を誤ると、二兎追って二兎を逃しかねない。

 FC東京戦でも守備では人数がそろっていながらプレッシャーをかけられず、チーム全体も後ろに重たくなりがちだった。一方、攻撃ではボールは持てども相手にとって危険な地域に運べず、FC東京のブロックの外でパスを回すシーンが散見した。

「5バックを敷いているので、ボール保持者にプレッシャーがかからないと厳しくなる。そういう失点が直近の試合でもありました。このシステムは、(相手を自陣に)引き込んだ形になりますが、ボール保持者にはしっかりとプレッシャーをかけて限定するという作業をしなければいけないのですが、イレギュラーな失点もありましたけど、2失点目は簡単にスルーパスを通されてしまった。ラインの統率という部分で、背後を取られるのは今日の試合だけではないので。そこを狙われてしまった失点でした」

 永井謙佑に背後を突かれ、決められた2失点目は、プレッシャーをかけられずに小川諒也にスルーパスを通させてしまったことも問題だった。そして攻撃面についても、金子は課題を指摘した。

「得点するためには、ゴール前のアイディアやワンタッチプレー、フリーランニングでスペースを空けたりとか、やはりゴールが決まるときというのは、どこかでワンタッチが入っていることも多いと思うので。今日もボールを回す時間帯はありましたが、最後のところでのひと工夫やダイナミックさ、誰かが無理をして仕掛けにいくとか、厚みのある攻撃はなかった。厚みのある攻撃がなかった。足下足下(でパスをつなぐこと)になってしまったので。監督からもフリーランニングを求められていました。パスが出なくても相手の1枚を引き出すように試みていたんですけど、やはりまだまだそこで連動して、誰かが抜けたところに入っていくだとか、そういうところはまだまだできていないと思います」

 金子が危機感を持ち、その課題をしっかりと把握して、いかに修正すべきかについて口にしたことには意味がある。守備も攻撃も課題は多いが、どう進むべきかは見えている。いま重要なのは、そうした考えをチームでどれだけ共有できるかという部分かもしれない。

 明日はサガン鳥栖戦。清水は、金子は、連敗ストップをかけて挑む。