若き才能が続々と台頭している今年のFC東京で、この秋、また一人、J1デビューを果たした。DFバングーナガンデ佳史扶だ。まだ2試合の出場に留まるが、ポテンシャルの高さは誰もが認めるところ。若きSBが思いを語った。

上写真=湘南戦に先発し、83分間プレーしたバングーナガンデ佳史扶(写真◎J.LEAGUE)

1対1は思ったよりできている

 リーグ戦の出場はまだ2試合。19節の鳥栖戦、20節の湘南戦でピッチに立った。ともに先発。時間にすれば2試合合計で173分間。決して出機機会が多いというわけではない。ただ、本人はその立場を理解し、日々、トレーニングに励んでいる。チームが19連戦の18戦目となった清水戦に勝利した翌日、バングーナガンデ佳史扶が取材に応じた。

 プロ1年目でいま感じているとは?

「対人とか1対1のところでは自分が思っていたよりもできているかなと思っています。ただ、まだまだ連係だったり前への積極性だったり、そこは全然できていない。周りと比べてワンテンポ遅いですし、そこを修正していけたらと思います」

 通用する部分と足りない部分は、はっきりと整理できている。鳥栖戦で0-3と完敗し、1週間後の湘南戦で1-0とリベンジした。成長のために必要なものを日進月歩で吸収している。

「結果がすべてでした。鳥栖戦で負けた後、湘南戦に向けては勝利にこだわるプレーを求めていました」

「僕たち普段、あんまり出られない選手が試合に出て勝てなかったら、やっぱり勝てなかったとなる。結果に一番こだわれと(長澤)徹さんや安間(貴義)さんとかコーチ陣に言われていた。その部分はみんな、日ごろからこだわっていると思います」

 悔しい敗戦を胸に刻んで臨み、そして勝利をつかんだ。自分の中にまた一つ、大きな経験が蓄積された。

「自分の中では湘南戦でやっと力になれたというか、チームの一員になれた気がしました」

 ただし、まだプロキャリアの、とば口に立ったに過ぎない。

「(活動自粛期間に)サッカーから離れてみて、自分はサッカーがないとダメだと思いました。その期間があったから今はすごくサッカーを楽しめていますし、いろいろな方への感謝の気持ちもあります。そういうことがプロになって、良く分かりました」

 プロ1年目のシーズンは、誰もが経験したことのない環境の中で始まった。まだ出場は2試合のみで、本格的なストーリーはこれから紡がれていく。順風満帆か、起伏に富んだ展開か。書き手は、他でもない佳史扶自身だ。