明治安田生命J1リーグで川崎フロンターレが1シーズンで2度目の10連勝という偉業を達成した。次の相手は、前回の対戦で記録を止められた名古屋グランパス。いわば因縁の相手に、鬼木達監督は平常心と特別な思いを持って戦う。

上写真=こだわりを持って自分たちらしく。新記録達成は目の前だ(写真◎スクリーンショット)

「リベンジとか小さなことではなくて」

 さあ、このときがやってきた。J1第22節でサンフレッチェ広島を2-0で下して、2度目の10連勝を達成。新記録を作ることができるかどうかの一戦が、10月18日にやってくる。

 その相手が名古屋グランパスだというのがまた、物語性を際立たせる。前回の10連勝でリーグ新記録を作った次の第12節で、名古屋に0-1の敗戦。さらなる記録更新を阻まれた因縁の相手だ。

「リベンジとか小さなことではなくて、自分たちが積み上げてきたものをもっともっと伸ばしていきたい、成長していきたいという意味で、勝ちを続けていきたいんです。同じ相手に何度も負けるということではなくて、目の前の勝利にこだわりたいですから」

 鬼木達監督はそんな風に「いつもと同じように勝利を積み重ねたい試合」だと説明する。今季はリーグ戦ではこの名古屋に、ルヴァンカップ準決勝ではFC東京に土をつけられている。二つの敗戦を見つめ直すと、鬼木監督には自分自身に対して共通する反省点が見えるという。

「自分自身、こだわりが欠けたゲームで負けたのかと思っています。名古屋も東京もそうでした。(FC東京に負けたあとにベガルタ仙台に勝って一安心して)前節の広島戦ではそれと同じような可能性があったと思っていたのですが、選手たちの執着心がゲームの前から出ていたので、内容については多少は難しい部分はありましたけど、そこが勝利にもっていけた要因だと思います。名古屋戦もその気持ちの部分が出せるかどうかではないかと改めて思っています」

 いつも通りに、でもこだわりと強い気持ちを込めて。

 そのこだわりの部分については、広島戦の前の仙台戦を終えたあとに「気づいていないかもしれないことに気づかせるミーティング」をしたと話していた。それは見る場所と選択肢の問題だったという。

「蹴る以上は一番先頭を見ている必要があって、そこを逃さないという意図がありました。ミスもあったので質が足りないところはあったんでしょうけど、広島戦では普段なら出さないようなところでパスを出しているシーンもありました。これまでは(動いた選手が)見えてるけど出さずに、手を上げて『分かってたよ、ごめん』と合図して済ませているところを、出してみていました。そこは少し進んだかなと。その分、ボールロストは増えるので、特に前半は自分たちのミスで苦しいゲームにしましたけど、チャレンジとエラーは成長の中では仕方ないですし、でもそれでも勝てるのは強みですね」

 これまでなら「出さない」としていた場面で「出す」という判断を下すようになってきたのは、また新たな兆候だろう。進化の種はこんなところにもある。

 そんな「新しいなにか」を常に携えながら、次に向かっていく。「自分たちで作った記録は自分たちで塗り替えよう」と選手に訴えてきた鬼木監督の言葉を現実にする名古屋戦が、間もなくやってくる。

「前回の対戦のときに名古屋の思いの強さは感じましたし、気持ちの持ちようで大きく変わるので、それを受けてしまったらそれこそ自分たちらしさなんて一つも出ません。だから、自分たちらしさを出して勝ちたいですね」

 鬼木監督は今回の連勝が始まったとき、もう一度10連勝すればその次に再び名古屋と対戦することを確認していて、必ずその状況にもっていくんだという熱い思いをスタッフには話していたのだという。

 そんな決戦前のチーム状態は、非常に良いという手応えがある。

「とても安定していい形で進んでいます。しかし、こういうゲームは安定より爆発が必要です。気持ちを一つにして戦わなければ」

 成長のための勝利にこだわるいつも通りの感情、その一方で、やはり「爆発」を求める特別なゲームなのだという思い。それが交錯するJリーグ屈指の好ゲームが、間もなくやってくる。