浦和レッズのDF槙野智章は14日の柏レイソル戦で、相手エースのFWオルンガを封じ込めた。激しいマークに鋭い出足は出色だった。33歳になっても、いまだ健在ぶりを猛烈にアピールした。

上写真=14試合連続でフル出場中の槙野(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月14日 J1リーグ第22節(@三協F柏:観衆2,634人)
柏 1-1 浦和
得点:(柏)江坂任
   (浦)興梠慎三

「ベテランの年齢ではない」

 いまJリーグで最も危険なストライカー、オルンガを見事に封殺。槙野のハードマークは出色だった。

 空中戦でもしっかり体を寄せて、相手から自由を奪った。柏が途中からロングボールを多用し、193センチのターゲットマンに合わせる戦法にシフトチェンジしてきても、体をぶつけて互角以上に渡り合った。前線で基点をつくらせず、ストッパーの仕事をきっちりこなす。チームとしてカウンターから江坂任に1ゴールこそ許したが、個の争いではほとんど負けていなかったと言っていいだろう。

 今季は開幕から先発メンバー落ちを経験し、再開後の序盤はベンチメンバーから外れることもあった。これまでは当たり前のようにスタメンを張ってきた男にとっては屈辱。悔しさをにじませながらも前を向き、必死にトレーニングに取り組んできた。地道な努力を重ねて出場機会をつかむと、8月15日のサンフレッチェ広島戦から全試合フル出場。連戦が続くなかでもお構いなし。元気な笑顔を見せ、いつもチームを盛り上げている。

 一度、スタメンを外れて戻ってきた男は、昔以上にタフになっている。「いろいろな壁を乗り越えてきた」というのは口だけではない。いまや4バックをまとめる守備リーダーとして、チームに欠かせない。試合中から若い橋岡大樹に常に声をかけ、同世代の宇賀神友弥とはコミュニケーションを取りながら守備の連係を確認。試合を重ねるごとに安定感が増している。ここからさらに成長していくつもりだ。

「33歳になりましたが、まだまだベテランの年齢ではない」

 これは以前に話した言葉である。柏戦ではあらためて、自らの存在意義を示していた。

取材◎杉園昌之