浦和レッズのFW興梠慎三が14日のJ1第22節・柏レイソル戦でゴールを決め、J1通算152点とした。鹿島アントラーズ時代から尊敬していたブラジル人FWマルキーニョスに並び、J1通算得点ランキング5位タイに浮上した。

上写真=興梠は柏戦で5試合ぶりのゴールを記録した(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月14日 J1リーグ第22節(@三協F柏:観衆2,634人)
柏 1-1 浦和
得点:(柏)江坂任
   (浦)興梠慎三

目標として公言

 0-1で迎えた59分、CKの混戦から体ごと投げ出して、執念でゴールに押し込んだ。価値ある同点弾がJ1通算152点目となった。

 はたから見れば節目の数字ではないが、興梠にとっては特別な意味を持つ。鹿島時代に2トップを組み、尊敬してきたブラジル人FWマルキーニョスの通算得点記録に並んだのだ。かねてから一つの目標として公言してきた数字である。

 2013年に鹿島から浦和に完全移籍し、今季で8シーズン目。J1史上初となる8年連続で2ケタ得点をマークし、コンスタントにゴールを積み重ねた結果である。

「20ゴール以上、取らないとエースとは呼べない」

 常々、口にする信条もマルキーニョスを隣で見てきたからこそ。チームが苦しいときにゴールを取り、苦境に陥っている仲間を救うのがエース。この日も1点を追う状況で、同点ゴールをマークした。

 今季は腰の負傷で一時離脱したり、連戦で疲労を抱えながらもムチを打って、満身創痍でピッチに立っている。柏戦では絶好機で職人らしくないシュートの失敗もあったが、意地も見せた。

 泥臭く粘り、5試合ぶりのゴール。しばらく足踏みしていたが、1点取れば、波に乗ってくるのが興梠である。

「長くプロをやっていれば、取れないときもありますよ」

 ゴールから少し遠ざかっても、いつも気にする素振りを見せることはない。むしろ、達観している。

「取れるときは取れるから」

 再び、取れるときがきたのかもしれない。9年連続2ケタゴールまであと5点。J1通算得点ランクは5位タイに浮上。歴代4位、前田遼一(FC岐阜)の154点まであと2点となっている。上位4人はいずれも現役ではあるがカテゴリーはJ2以下。今季、J1の記録を更新できるのは興梠一人のみ。いったいどこまで得点数は伸びていくのだろうか。いまは期待しかない。

取材◎杉園昌之