10月10日、明治安田生命J1リーグは第21節が開催され、横浜FCは鹿島アントラーズと敵地カシマスタジアムで対戦。試合開始早々に瀬沼優司が先制点を挙げ、松尾佑介が2点目を奪取。しかし終盤に逆転されて敗れた。ボランチの一角を務めた安永玲央は自身の課題を痛感した。

上写真=ボランチで先発フル出場した安永玲央(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月10日 J1リーグ第21節(@カシマ:観衆5,671人)
鹿島 3-2 横浜FC
得点:(鹿)エヴェラウド、オウンゴール、小泉慶
   (横)瀬沼優司、松尾佑介

「ボランチとしてコントロールできていれば」

 2-0とリードした前半の出来は完璧に近かっただろう。後半13分に1点を返されたものの、終盤までは横浜FCが必死に1点差を守っていた。しかし、後半43分とアディショナルタイムに失点し、勝利はおろか、勝ち点を取ることも叶わなかった。

「前半は良い形で2ゴールを取ることができました。後半は(相手の勢いに)のまれる時間帯が長くなり、そこでチームの中で(パスを)回すのか、(ロングボールを)蹴ってセカンドボールを拾うのか、統一感がなかった。自分がボランチとしてコントロールできていれば、もっと違った試合になったのではないかと思います」

 試合後、敗戦の悔しさを募らせるのは、ボランチの位置でフル出場した安永玲央だ。アカデミー出身のプロ2年目。J1リーグで6試合目のスタメンに名を連ねた19歳は、90分を通して存在感を放っていた。

「相手の2ボランチ(三竿健斗とレオ・シルバ)は日本でもトップクラスの2人。自分の力をどこまで出せるのか、すごく楽しみでした。チャレンジャー精神でやれたのかなって思います。その中でも自分の守備の部分だったり、(持ち味を)出せたのではないかなと」

 安永がそう振り返るように、マッチアップした三竿とレオ・シルバに球際などで引けを取らなかった。果敢にボールを奪いに行くシーンもあれば、寄せられても体を張ってボールを譲らずキープする場面もあった。ただ、手応えをつかみつつも、実力差を感じていた。

「チームをコントロールする部分では三竿選手、レオ・シルバ選手のほうが一枚上手でした。ボールを奪い切るところも『すごいな』って肌で感じられました。自分はそれを盗んで、その2ボランチを早く越せるように頑張っていきたい」

 鹿島の経験豊富な選手を目の当たりにし、自身の課題が浮き彫りとなった。88分間、試合に勝っていても、残り数分間を耐えられずに敗れてしまう。チームを勝利に導けなかった要因として自らがとらえたことが、ボランチを務める安永にとって、まだ足りないものなのかもしれない。

「自分たちは勝っているとどうしても守りに入ってしまって、その守りの時間がどうしても長くなってしまう。前半みたいな戦い方を後半の途中くらいまではできるようになった。自分が全体をコントロールして、(パスを)回す時間は回す、セカンドボールを拾うときは拾うで、自分が声をかけてやっていけたらまた違う展開になる。そこは修正していけたらと。自分はボランチでチームの軸なので、チームのコントロールをこれからもっとしていけたらなと思います」

 確かな技術と、あふれる闘争心。そして、優れた戦術眼。安永玲央という若きボランチは、これからもっと偉大な選手に進化していく予感を漂わせる。ゲームの支配者となり、チームを勝利へと導くために。未完の19歳は、これからもJ1の舞台で見えた課題の一つひとつを自身の成長につなげていく。

現地取材◎サッカーマガジン編集部 写真◎J.LEAGUE