JリーグYBCルヴァンカップ準決勝で川崎フロンターレを破り、11年ぶりの決勝進出を果たしたFC東京。明治安田生命J1リーグに戻って、調子を上げてきたガンバ大阪を迎える。長谷川健太監督が選手たちに求めるのは強者の自覚だ。

上写真=シビアに選手たちに戦う姿勢を求める。強者の宿命だ(写真◎FC東京)

「フタを開けてみないと」

「強いチームというのはビッグゲームが続くものです。川崎もセレッソとの首位決戦のあとにうちとのルヴァンカップ準決勝だったし、うちもその準決勝のあとに調子のいいガンバと対戦します。上位にいればACLやカップ戦の準決勝、決勝と厳しい試合が多くなってくるものです。東京も昨年は優勝争いをしてそういったビッグマッチに勝ったこともあれば負けたこともあって、その経験を今季生かせるか。気が抜けたら、そこまでです」

 経験という意味では、特にガンバ大阪の監督時代に修羅場をくぐり抜け、多くのタイトルを獲得してきた長谷川監督自身の実績が、そんな言葉を口にさせるのだろう。川崎フロンターレとのルヴァンカップ準決勝に2-0で勝って11年ぶりの決勝進出を果たした「祭り」のあとのガンバ大阪戦が目の前に迫る。

「試合が始まってみないと分かりませんけど、選手たちはしっかりと自覚を持ちながら準備してくれていると思っています。実際に始まってみてダメだ…となるか、いい感じで入れるかは、フタを開けてみないと分かりません」

 だから選手たちのアクションはしっかり見ているぞ、という監督なりのものすごくシビアなメッセージだろう。

 G大阪は再開時には10位に沈んでいて、その後は上がったり下がったりを繰り返していたが、前節でついに暫定4位にまで上がってきた。まだ20試合の消化で勝ち点38、FC東京は23試合を戦って勝ち点44だから、ここでたたいておかないとやっかいなことになる。

「ガンバはもともと今季は非常にいい選手が揃っていて、個々のレベルもクオリティーも高いです。3バックや4バックを使いながらやってきた中で、この秋口ぐらいから徐々に宮本監督のやりたいサッカーが浸透してきているのかなと思います」

「パトリックや渡邉千真、アデミウソンといった選手の背後への動き出しが増えてきているので、しっかりとケアしつつ、ミドルシュートを打つ選手もいますので、バイタルエリアでのシュートブロックをしっかりするとか、特別にどこを抑えるということではなくて、しっかりした自分たちの戦いを、これまでも言ってきたように細かいところにこだわってやれるかではないかと思っています」

 浦和戦も湘南戦も川崎F戦も、すべて集中力の高い素晴らしいゲームになった。それをこれからも続けられないのであれば、本当に強いチームになることはできない。冒頭の「気が抜けたら、そこまで」の言葉には、そんな意味が込められているのだろう。