JリーグYBCルヴァンカップの準決勝でFC東京に敗れてしまった川崎フロンターレ。連覇達成の野望はついえたが、すぐに次の戦いがやってくる。鬼木達監督は深い深い後悔を自らに向け、次なる挑戦へと舵を切っている。

上写真=敵将の長谷川健太監督(左)との「差し合い」も見どころになった(写真◎Getty Images)

乗り越えたい、の延長に

 ルヴァンカップは準決勝で敗れた。連覇まであと2勝というところで、FC東京の堅い守備を突き崩せないまま0-2で大会をあとにした。

 これが今季2敗目となった。最初の黒星はリーグ戦で、8月23日のJ1第12節で名古屋グランパスに0-1で敗れた。鬼木達監督は相手のやり方を受けずに強気に戦うべきだったと明かし、それが強烈なアイデンティティとなって攻撃サッカーをより強力なものにして、この敗戦からは1分けのあと8連勝中だ。

 では、ルヴァンカップで食らった今季2敗目から得た気づきとはどんなものだろう。

「今回、一番は、東京という相手に対する選手の気持ちを、自分自身がどう持っていくかですね。正直に言いますと、(FC東京が直前のリーグ戦の)湘南戦に臨むメンバーを見て、東京の覚悟が分かりました。自分たちが戦う東京はこれまでと違うと認識しましたが、それをもっともっと細かく伝えられればこういう結果にならなかったと思っています」

 FC東京は10月4日の湘南ベルマーレ戦では、その前の浦和レッズ戦から11人全員を入れ替える先発メンバーを送り出し、J1デビューした選手を含め若いメンバーを交代で起用した。それだけ、中2日で迎えるこの準決勝にかけていたのだ。

 それが分かっていながら、選手に伝えるべきことを伝えきれなかった、という、監督としての後悔があるというのだ。

「細かいところは(リーグ戦で)もう1試合あるので言えなくて申し訳ないのですが、自分が感じたことすべてを行動に移せなかったのが自分の反省です。選手の力を最大限に出す方法はあったと思っています。今回はそこに尽きます。自分も修正して反省しながら成長していきたいと思っています」

 この苦々しい思いは、これからも続くリーグ戦で晴らしていくしかない。前回、名古屋に敗れたときはJ1記録の10連勝でストップした。そのときに鬼木監督は選手たちに、自分たちの記録は自分たちで破ろうと訴えかけた。現在8連勝中だから、あと3試合で実現する。

「もちろん、記録を意識しているわけではないのはこれまでと同じですが、乗り越えていきたい、強くなっていきたい、という思いの延長にそういう言葉が出てきました。自分が発したその言葉を選手たちも一生懸命実現して取り組んでくれています。東京戦に敗れたあとの仙台戦がより大事になるのは意識しています。大きなパワーを注いでいきたいと思います」

 10月10日、ホームのベガルタ仙台戦。この90分が、川崎Fの残りのシーズンを占うことは間違いない。