柏レイソルがJリーグYBCルヴァンカップ準決勝で横浜F・マリノスを下し、決勝進出を果たした。ボランチで先発した大谷秀和キャプテンは、獅子奮迅の活躍で勝利に貢献。7年前に立てなかった舞台に上がる権利を得た。

上写真=79分まで全身全霊を注いでプレーした大谷秀和(写真◎J.LEAGUE)

■2020年10月7日 JリーグYBCルヴァンカップ準決勝(観衆4,785人/@ニッパツ)
横浜FM 0-1 柏
得点:(柏)山下達也

チームが上に行くためにタイトルは不可欠

 あの舞台に上がりたいという思いは人一倍強かったのではないだろうか。今から7年前の2013年、柏は浦和レッズとヤマザキナビスコカップ(現ルヴァンカップ)決勝を戦い、優勝を果たしたが、その試合に大谷秀和の姿はなかった。準決勝第2戦でイエローカードを受け、累積警告のために出場停止だったからだ。

 思えば、あのとき準決勝で対戦したのも今年と同様に横浜F・マリノスだった。そして、大谷が2枚目のイエローカードを受けた準決勝第2戦の会場も同じ、三ツ沢球技場だった。試合には敗れたが2試合合計4-2で勝ち抜いている。

 スマートに勝って、決勝へーー。7年前の記憶をたどれば当然、それがベストな形となる。しかし、だからといって大谷は球際で激しくボールを奪い合うことに躊躇したり、プレスの勢いを緩めるような選手ではない。決勝進出がかかった大一番で、いつもどおり激しく、雄々しく、ピッチに君臨した。まさに全身全霊のプレーを披露。横浜FMの猛攻に体を張り、反攻すべく攻撃を司った。

 そしてチームは前半早々に挙げた1点を守りきり、決勝行きの切符をつかみ取る。大谷は79分にピッチを退くまで、イエロカードもレッドカードももらわなかった。

「監督は経験豊富で、獲ったタイトルの数も多い人なので、昨年から自分たちに足りない部分、勝つということへのこだわりだったり、熱だったりというのは植え付けてくれています。そしてそれを選手がピッチで体現できるようになってはきていると思います。ただ、もう一歩、チームとして上にいくためには、タイトルというのは不可欠だと思う。昨年J2で優勝した中で、こういうのは何度でも味わいたいと若い選手は思ったと思いますし、実際に優勝まであと一つのところに来た。何が何でもタイトルを獲って、優勝ってやっぱりいいものだなと体感してほしいです。ファイナルはまだ少し先になりますけど、雰囲気はいいので、全員でいい準備をしたいと思います」

 タイトルへの思いを聞かれると、若い選手たちにとっていかにタイトル獲得が重要事なのかを語った。自身のことよりもまず若い選手たちについて語るあたりが大谷らしい。

 決戦は11月7日、場所は7年前とは姿を変えたが、同じ国立競技場。大谷秀和は『鬼門』の横浜FM戦を激しくもクリーンに乗り越え、あのとき立てなかった舞台に立つ権利を得た。

 今度はピッチで戦って、聖杯奪取を目指すーー。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE