上写真＝キャプテンとして仲間を先導してあいさつ。悔しさを隠さなかった（写真◎J.LEAGUE）
■2020年10月7日 ルヴァンカップ準決勝（@等々力:観衆6,635人）
川崎F 0-2 FC東京
得点：（東）レアンドロ2
「引きずっている暇はありません」
「正直、完敗です」
そう認めざるを得ないほどの敗退劇だった。
「悔しいですね。完全にFC東京にしてやられたなという試合でした。これで一つの大会が終わってしまった。簡単に切り替えられるものではないですね」
完敗、としたのは、もしかしたら、FC東京に対してというだけではなく、それを打ち崩せなかった自分たちに対して、という意味も含まれていたかもしれない。こんな風に話すからだ。
「FC東京は徹底していましたし、自陣3分の1に全選手が戻って固めてくるやり方でした。それに対して、うちの人数のかけ方がうまく共有できなかったと思います。サイドに人数をかけて中が薄くなったり、逆に中に行き過ぎて外のチャンスで人がいなかったりとか、崩しのイメージの共有は足りませんでした」
これまではほとんどの試合で、その守備の壁を軽やかに崩してきた。だが、「こうなると予想はしていましたけど、ここまで徹底してくる感じは想定はしていませんでした」と振り返るほどに、FC東京の守備へのパワーは高かった。相手の戦い方よりも自分たちのやり方で、という高い意識が川崎Fの好調の大きな理由だったが、それを上回られたことになる。
「こういうゲームしてくるのであれば、先に失点してしまっては難しくなります。じわじわとボディーブローのように効かせながら、という試合ができれば分からなかったけれど、ワンチャンスでボールの処理の部分とセットプレー絡みで取られて、やらせていけないポイントでやられました。勝負の分かれ目はそういう細かいところで、そこで東京が上回っていました」
これで3冠の夢はついえた。だが、試合はすぐにやってくる。またJ1リーグに戻って、中2日でベガルタ仙台を迎える。
「チームにとっては久々の敗戦で、負けてしまうと考えていなかったことを考え始めるきっかけになります。それがプラスに働くこともありますがマイナスに働くこともあり、みんなで共有しながら進んでいくことが大事です。中2日で次のゲームが来るので、反省するところは反省してリーグ戦をきちっとやっていかないといけません。引きずっている暇はないですね」
最大の目標であるリーグ制覇に向けて、この敗戦からいかに切り替えることができるか。メンタルに書けるパワーが次の試合で試されそうだ。
取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE