明治安田生命J1リーグで暫定2位のセレッソ大阪で3-1で下した川崎フロンターレ。次はJリーグYBCルヴァンカップ準決勝のFC東京戦が待っている。C大阪戦で久々のゴールを決めた三笘薫は自慢のドリブルで決勝に導くつもりだ。

上写真=C大阪戦でチーム3点目を決めてこの笑顔。勝利を大きく引き寄せた(写真◎Getty Images)

「取れると思われるのはちょっと嫌」

 久々のゴールに喜びもひとしおだった。J1第20節、暫定2位のセレッソ大阪との頂上決戦で、勝利をぐぐっと引き寄せるチームの3点目はこの人、話題のルーキー三笘薫が決めたのだった。

 9月5日の第14節横浜F・マリノス戦で2ゴールを挙げて3-1の勝利に導いて以来だから、およそ1カ月ぶり。

「しばらく取ってなかったのは自覚していましたし、でもチャンスメークはやってきていたので、いつか入ればなと思っていました。貴重な3点目でチームに落ち着きをもたらすことができてよかったです。次に取れば2桁にもなりますし、自分自身にもっと期待しながらやっていきたいです」

 その言葉の通り、このC大阪戦のゴールが9点目。チームの中では11得点の小林悠、10得点のレアンドロ・ダミアンに続く数だ。この3人が1ゴールを挙げるのに要した時間は、順に86分、103分、80分で、三笘の高効率のフィニッシュが紛れもなくチームの武器になっている。

 面白いのが、ゴールそのものへの意識についてだ。

「もともとゴールを取るタイプではないんですよね。取らない方が普通なので、取れると思われているのもちょっと嫌なんですけど、でもそうやって期待されながらも決められればいいと思います」

 そう言ってユーモアに包み込むが、だから1カ月間、ゴールがなかったからといって動じるわけでもなく、「自分自身に期待する」という心持ちで前向きに過ごせたのだ。

 本来の気性も影響しているだろう。C大阪戦は2位との直接対決だから、いわば大一番。でも、「得意な方だと思います」と平然としていた。

「大一番だからといっても気負わず、いつも通りにプレーするのは得意です。ベンチからの出場が多いので、相手を分析してリラックスして入れるのは大きいですし、スタメンでもリラックスできるように準備していきたいと思います」

 次も大一番だ。ルヴァンカップ準決勝のFC東京戦。一発勝負で相まみえる相手には、大学時代からしのぎを削ってきた中村帆高がいる。筑波大出身の三笘は左ウイング。明治大出身の中村は右サイドバック。ともにこれまでと同じそのポジションで出場すれば、直接対決のガチンコ勝負。これは見ものだ。

「僕が対戦してきた中では、これまででは一番対人が強い相手なのですごくやりにくいですし、大学で戦ってきた、知り尽くしている同士なのでやりにくさもありますけど、よく知っている分、その逆を取ったり弱点をつければいいと思っています」

 そう言って、思わずニヤリと不敵な笑みを浮かべてみせる。

 では、その弱点とは?

「人に強いところがあると思いますけど、ワンツーだったりそういうところがチャンスになると思っていますけど、でもどうですかね、俊敏性もあってついてくるので、この数日で考えたいと思います」

 そんな風にしてうまく濁すが、もちろん、いまから手の内を明かすわけはない。答えはピッチで堂々と表現するだけだ。