9月28日にサンフレッチェ広島がガイナーレ鳥取と練習試合を行ない、45分間×2本で6-1の勝利。出場機会の少ない選手が実戦の機会を得たことに、城福浩監督も満足げだった。

上写真=立ち上がりから鳥取を圧倒した広島が勝利を収めた(写真◎石倉利英)

前半だけで5得点

 45分ハーフ、前後半の半ばに飲水タイムが設けられるなど、公式戦と同様の条件で行なわれた一戦。サンフレッチェ広島、ガイナーレ鳥取とも前日にリーグ戦を戦っていたこともあり、出場機会の少ない選手が多くを占めるメンバー構成となった。

 その中で広島は立ち上がりからゴールラッシュを見せる。開始3分にMF柴﨑晃誠が左足でコースを突いたシュートを決めて先制すると、10分にFW鮎川峻がゴール前のこぼれ球を蹴り込んで2点目。16分にはMF野津田岳人が右足で右スミにコントロールしたシュートを決め、一気にリードを広げた。
 
 さらに35分にMF松本大弥が鮮やかな右足ミドルシュートをたたき込み、36分には最終ラインの背後に抜け出したFW永井龍が決め、前半だけで5-0とする。やや失速した後半も78分に広島ユースのキャプテン、2種登録のMF竹内崇人が決めて6得点。86分に鳥取MF世瀬啓人にミドルシュートを決められたものの、6-1での勝利となった。

 広島がリーグ戦再開後、90分間の練習試合を行なったのは今回が初めて。城福浩監督は「試合に絡めていない選手にとって、コロナ禍は非常に難しい状況。彼らに90分間プレーさせたかったので、得点、失点にこだわりながら、しっかり90分間やることは意味があったと思う」と練習試合の意義を振り返った。

 終了間際に失点したとはいえ、全6得点を違う選手が決め、90分間プレーした選手も多かったことは収穫と言えるだろう。城福監督も「90分間のゲーム体力や、苦しい時間を乗り越えるところを、みんなが久しぶりにできたことが大きかった。クオリティー、モチベーションも高かった」と満足げに語った。

 広島は前日の明治安田生命J1リーグ第19節で、ガンバ大阪に1-2で敗戦。現状の11位から浮上していくためには、この日の練習試合に出場した選手のエネルギーも必要になるときがありそうだ。「内容が良くて結果が伴わないとき、実は試合に絡んでいない選手が、ものすごく悔しい。みんなで準備してきてメンバーに入れず、勝ち点3を取ってくれれば報われるが、スタンドから見て悔しい思いをする」と語った城福監督は、「そういう選手がやり続けている姿を見て、やはり全員で勝ち点3を取ることの大切さを感じた。彼らもチャンスがあれば、信じて送り出したい」と続け、新しい力の台頭に期待を寄せていた。

取材・写真◎石倉利英