明治安田生命J1リーグ第19節で柏レイソルと横浜F・マリノスがお互いの持ち味を存分に出し合った好ゲームを見せた。柏が前半に先制すれば、後半に横浜FMが鋭いカウンターからきっちり相手ゴールを3度陥れて逆転勝利を果たした。

上写真=仲川(右)のアシストでエリキが同点弾。横浜FMの速攻は鋭かった(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月27日 J1リーグ第19節(@三協F柏:観衆2,715人)
柏 1-3 横浜FM
得点:(柏)オルンガ
   (横)エリキ、オウンゴール、前田大然

「認めざるを得ない」(ネルシーニョ監督)

「ボールを握っているときに後ろでもたつくことなく、前方向にやっていこう、というプレーで、相手の裏も突破できてチャンスを作り出しました。アグレッシブにやった結果です」

 横浜FMのアンジェ・ポステコグルー監督がこう話して胸を張ったのがよく分かる内容と結果だった。

 2分に横浜FMのエリキ、3分に柏の仲間隼斗がシュートを放って、どちらも攻撃の意欲満々でスタートした90分。激しいがそれをお互いに認めあい、戦術的にも技術的にもテクニカルで、攻めでも守りでもスピードが生かされたプレーの連続に、スタンドは息を呑んだ。

 徐々に押し込んだのは横浜FMの方。オナイウ阿道のポストプレー、エリキとマルコス・ジュニオールのテクニックを起点に右の小池龍太、左のティーラトンを使いながらバリエーション豊かに攻めるのはいつも通り。22分にはオフサイドになったものの、鮮やかな連係からゴールに迫っていった。柏もオルンガ、仲間、江坂任の前線の3人がスピード感のある攻めを見せて対抗した。

 残念だったのが34分。柏の戸嶋祥郎が左を抜け出して折り返したところに松原健がタックルして、戸嶋はこのまま負傷退場。横浜FMはこれで少し集中力に欠けたかもしれない。柏は40分に左から三丸拡の蹴ったCKを中央でオルンガがヘッドで流し込んで先制した。

 後半も大きな流れとしては横浜FMがうまく攻めて柏がしのぐ展開。仲川輝人、前田大然といったスピードのある交代選手を使いながら押し込んだ横浜FMが、柏の最終ラインの裏を速さで攻略。そして、終盤に一気に攻め立てた。

 77分、左から中央にボールを動かし、仲川輝人が引っかけられながらも粘って右に送ると、フリーになっていたエリキがゴール右に叩き込む同点弾。横浜FMのカウンターの鋭さは増し、82分には小池のパスで右サイドを破ったエリキが中央に送ると、相手DFに当たって転がり込むオウンゴールで逆転に成功した。

 立場が逆になった柏はオルンガを中心に同点を狙うものの、攻撃の工夫が足りずに横浜FMのブロックを突き崩せないまま。逆に横浜FMがアディショナルタイムに、仲川の左からの折り返しにフリーになっていた前田大然が何なく押し込んで、勝負あり。

 柏のネルシーニョ監督はポステコグルー監督の言葉に呼応するように、「追加点を決められるようなチャンスは作れたが決めきれなかった。相手の選手や、チームとしての完成度も含めて、クオリティーを認めざるを得ない結果だと思う」とむしろ清々しいぐらいだった。

現地取材◎平澤大輔 写真◎J.LEAGUE