3年計画でチームの強化を進めている浦和レッズは、いま土台をづくりに励んでいるところだ。就任2年目を迎える大槻監督は1試合1試合、積み重ねながら、成長を実感し、確かな手応えを感じているという。

上写真=選手に指示を送る大槻監督(写真◎Getty Images)

勝利に向かう姿勢は見せる(大槻監督)

 浦和は勝ったり負けたりを繰り返しながら18試合を消化し、勝ち点30を積み上げている。順位は8位。目標のACL圏内の3位との勝ち点差は8ポイント。十分に射程圏内ではあるが、手放しで褒めるような試合内容ばかりではない。大槻毅監督は日頃から「攻守両面で主体的なサッカーを見せたい」と話しているが、現実は厳しい。リアクションサッカーを強いられることのほうが多く、苦しみながら勝ち点を重ねている。指揮官は、試合の合間に積み上げの練習があまりできないもどかしさを口にした。

「リーグが再開してから3試合、5試合と連戦が続いています。トレーニングがなかなかできません。すぐに次の試合の準備をしています。それでも、土台はあります。戻るところはある。試合を重ねるごとに肉付けされていることは確認できています」

 この日も23日の清水エスパルス戦で消耗した選手たちは、リカバリーに努めたという。過密スケジュールのなかでは、練習で上積みしていくのは簡単ではない。

「今季はゲームの質を担保するのが難しくなっています。それでも、ファン・サポーターに喜んでもらえるような試合をしないといけない。勝利にむかう姿勢、走り切る姿勢は見せたいです」

 26日のホームでの横浜FC戦に向けて、必勝を誓っていた。

「100パーセントの力を出したい。やり続けていることをブレずにやっていくことが大事。土台を粘り強くつくっていきたいです」

 地道にコツコツと積み上げていった先に、いまはまだ見えていない形があるのだろう。具体的な理想像については多くを語ることはないが、指揮官の頭の中にははっきりと描かれているようだ。終盤戦は結果だけではなく、試合内容にも期待したい。

取材◎杉園昌之