セレッソ大阪との上位対決を制した一戦で、際立った働きを見せたのが、FC東京のナンバー9、ディエゴ・オリヴェイラだ。守備面でチームを助け、先制ゴールもマーク。その存在感は圧倒的だった。

上写真=先制ゴールを決めたディエゴ・オリヴェイラ(写真◎Getty Images)

■2020年9月23日 J1リーグ第18節(観衆4,316人/@味の素)
FC東京 2-0 C大阪
得点:(F)ディエゴ・オリヴェイラ、アダイウトン

食らいついていくことが大事

 均衡を破ったゴールは、ディエゴ・オリヴェイラの真骨頂だった。逆サイドでボールを受けた安部柊斗がドリブルを開始するのを確認するや動き始めて一気に加速。ぐんぐんスピードを上げてパスを呼び込むと、ボールを持ってボックス内に進入。相手DFがコースを塞ぐよりも早く左足を振って、ネットを揺らした。

 その走力と推進力、シュート技術はやはり別格だ。自身の今季8点目となるゴールは、順位表でFC東京の一つ上にいるセレッソ大阪に対して心理面で優位に立つ貴重な得点にもなった。ただ、そんな重要な仕事をやってのけたにもかかわらず、本人に浮かれる様子はまったくない。いつも通り謙虚に振り返った。

「チームのためにどうやって貢献できるか。試合に出ても出なくても、いつも考えています。今日の試合はみんなが勝利に貢献したと思いますし、とても大切なゲームの中で、自分は先制点を挙げることができ、貢献できてうれしく思います」

 自身のゴールよりもまず、チームの勝利を喜び、そして仲間の働きに言及する。ディエゴ・オリヴェイラは常にチームファースト。そのプレーぶりも独善的なところがまったくない。

 長谷川監督はこの日、「左のFWとして起用した」とディエゴ・オリヴェイラについて話したが、3トップの左ウイングよりもやや後ろ、左のサイドハーフのような位置でプレーしていた。とりわけ目立ったのは守備面の貢献で、自陣深い位置まで下がって相手のボールホルダーに激しく当たり、攻撃に転じれば、圧倒的な推進力を発揮してボールを前に運んだ。

「ブラジル時代にもやっていたポジションで、もう一つ前のポジションよりも運動量が求められますが、いまはコンディションもよくて、ディフェンスも含めて、いい形のフィーリングでプレーできたと思います」

 本人が話す「いいフィーリング」のプレーは、カウンターとハードワークというFC東京の持ち味を体現し、チームを大いに助けることになった。

「試合はまだまだあります。いまは勝ち点を稼いで上に食らいついていくことが大事。厳しい試合が続きますけど、1ポイントでも多く勝ち点を取りたいと思います」

 シーズン後半戦に向けた意気込みを聞かれても、口にするのはやっぱりチームのこと。FC東京のために走り、球際で争い、ボールを運び、そしてネットを揺らす青赤のナンバー9が、後半戦も攻守両面でけん引車となるのは間違いない。