川崎フロンターレの鮮やかな先制ゴールをマークしたのは山根視来だった。右サイドバックながらペナルティーエリアの中央付近に顔を出すと、右ボレーでゴールネットに突き刺した。試合の流れを引き寄せる一発となった。

上写真=先制ゴールをマークした川崎フロンターレの山根視来(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月20日 J1リーグ第17節(@埼スタ/観衆6,357人)
浦和 0-3 川崎F
得点:(川)山根視来、小林悠、レアンドロ・ダミアン

アキくんを信じて走った(山根)

 埼玉スタジアムからため息が漏れた。ペナルティーエリア内で川崎Fの家長昭博がボールを収めて時間をつくると、するすると右サイドバックが敵陣深くに侵入。右FWの家長の外側を回るのではなく、中へ入り込んできたのがミソだ。専門用語を使えば、インナーラップである。後ろからランニングしてきた山根視来は、家長がアウトサイドでふわりと浮かした絶妙なパスを右足ボレーできれいにゴールネットへ突き刺した。会心の一撃だったが、本には冷静に淡々と振り返っていた。

「アキくんが外に張っていたので、中の空いているスペースが見えたんです。パスも下(グラウンダー)だったら通っていなかったですが、アキくんならいつでも浮き球のパスを出せると思い、信じて走りました。シュート自体はリラックスして打てたと思います」

 移籍1年目で右サイドバックのレギュラーを確保し、今季はすでにリーグ戦3点目。勝負どころではここぞとばかりに相手のボックス内まで入り込み、ゴールに襲いかかる。ワンツーで入ることもあれば、3列目から一気に飛び出していくこともある。浦和戦のように内側を走り抜けるインナーラップもお手の物。湘南ベルマーレ時代から型にとらわれない攻撃参加でゴールに絡んできた。今季は得点をお膳立てする側に回っても、しっかり4アシストを記録。開幕前から「ゴール、アシストという結果にこだわる」と宣言したとおり、川崎Fでも存在価値を十分に証明している。

 それでも、本人はまだまだ満足していない。自身初のリーグ優勝に向けて、気を緩めるつもりはない。この日は先制ゴールを挙げ、3-0と完勝しても反省を口にしていた。

「僕自身、試合のなかでまだチャンスがありましたし、もっと取れたと思います。チームとしても3点では満足できないです」

 どこまでもどん欲な26歳は、自身初のリーグ優勝に向かって、妥協することなく突き進んでいく。

取材◎杉園昌之 写真◎J.LEAGUE