サンフレッチェ広島戦で重要な仕事をやってのけた。1点リードされている状況で、柏レイソルのDF北爪健吾が同点ゴールをスコア。自身にとってのJ1初ゴールはチームに貴重な勝ち点をもたらす得点になった。

上写真=ゴールを挙げてガッツポーズする北爪。判断力と技術が光った得点だった(写真◎Getty Images)

■2020年9月19日 J1リーグ第17節(観衆2,728人/@三協F)
柏 1ー1 広島
得点:(柏)北爪健吾
   (広)ドウグラス・ヴィエイラ

自分の力を証明したいと思っていた

 広島に先制され、1点を追う状況だった。前半のアディショナルタイム。右のタッチライン際にいた広島の森島司が走り込む川辺駿に送ったパスが合わず、柏のCB山下達也がインターセプトに成功。ダイレクトでボランチの大谷秀和にボールを出した。

 その瞬間である。この日、3バックの右CBを務めていた北爪健吾が、自陣ボックス内から前方へと勢いよく走り出した。

 パスを受けた大谷は反転して、センターサークル内に陣取るFWオルンガへ縦パスを通す。そしてオルンガは相手CB荒木隼人を背負いながらもしっかり収めて左サイドに流れていた江坂任にボールをはたいた。江坂は半身の状態で受けると、ダイレクトで浮き球パスを中央へ送ったーー。

 落下地点に走り込んでいたのが、柏のマイボールになった瞬間にスタートを切っていた北爪だった。

「3枚の右でスタートしましたが、奪ってから出ていくところは僕自身も意識していた部分でした。大谷選手が持った時点でスペースが前にあったので、出ていく判断はしていました」

 前半終了間際で、広島の選手たちは最後の攻めに出ていた。前述の通り、ボランチの川辺も自分のポジションを空けて攻め込んでいる。その状況下で守備から攻撃に転じた柏の選手たちは、一気のカウンターを仕掛けた。そこから寸分の狂いもない判断とプレーが連続する。

 インターセプトした山下から大谷へワンタッチで出したパス。大谷がオルンガの足元につけた正確な縦パス。オルンガのキープ力と江坂への展開。敵がいないピッチ中央を駆け上がる北爪を見逃さず、江坂がドンピシャで届けたダイレクトパス。

 状況を見極める目と少ないタッチ数によるつなぎによって広島の選手たちの帰陣よりも早くボールは運ばれ、そしてゴール前まで攻め上がっていた北爪に届けられた。

「(江坂)任に入ってからのロングボールはファーストタッチがすべてだと思ったので、まずはしっかりシュートを打てるところに置くことだけを考えました。あとは狙ってというよりは枠内に強いシュートを打とうと。ふかさずに良いミートができました。前に出ていく判断とファーストタッチが良かったと思います」

 コースを切りに来た相手CB佐々木翔のスライディングよりも早く右足を振り抜き、北爪は豪快にネットを揺らした。マイボールになった瞬間に迷わず走り出し、トラップとシュートまで完璧にやり抜いた同点ゴール。それは自身にとってのJ1初ゴールでもあった。

「今シーズンがJ1初チャレンジというところで、初ゴール初アシストは必ず付いて回ると思ってました。目標に掲げていましたけど、結果としてゴールできて自信になりました。試合に出続ければいつか機会が来ると思ってましたが、このゲームで結果を出せてよかった」

 すでにルヴァンカップの大分戦では得点していたが(2ゴール)、リーグ戦では初めてだった。

「しっかり自分の力を証明したいと思っていました。(シーズンの)前半戦が終わるタイミングで、それができた。なかなか途中から出ても結果に結びつかないというもどかしさはあったので、これをいいきっかけに、もっともっと結果にフォーカスできる選手になりたい」

 横浜FCから移籍してきて1年目。結果を出したいとの思いは強かった。その意味でこのゴールは大きいが、何より重要なのは、多くの選手が絡んだ末の、まさにチーム力の結晶のようなゴールを挙げたことだろう。

「誰にもチャンスがあるわけではないので、どんな状況でも、チャンスを生かす準備をしていないと。毎試合、最後というか、結果が出せなけれ代えられてしまうという危機感を持っています。それはいい状態であると思うし、きょうは勝ち点3が取れなかったので、後半はしっかり勝ち点3を積み上げられるようにしていきたい」

 その判断力、走力、スピード、技術をチームの中で存分に生かしていた。今年の柏レイソルに、北爪健吾ありーー。そう強く印象付けるゴールとプレーだった。

取材◎佐藤 景 写真◎Getty Images