9月19日、明治安田生命J1リーグ第17節が開催された。三協フロンテア柏スタジアムでは柏レイソルとサンフレッチェ広島が対戦。序盤から互いの強みを生かし、攻め合う展開となった試合は1-1のドローで決着。勝ち点1を分け合った。

上写真=広島の佐々木と柏のオルンガが競り合う!(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月19日 J1リーグ第17節(観衆2,728人/@三協F)
柏 1ー1 広島
得点:(柏)北爪健吾
   (広)ドウグラス・ヴィエイラ

・柏メンバー◎GKキム・スンギュ、DF北爪健吾、山下達也(89分:鎌田次郎)、古賀太陽、三丸拡、MF三原雅俊(74分:ヒシャルジソン)、大谷秀和、戸嶋祥郎、江坂任、FWオルンガ、呉屋大翔(86分:仲間隼斗)

・広島メンバー◎GK林卓人、DF野上結貴、荒木隼人、佐々木翔、MF茶島雄介(80分:土肥航大)、川辺駿、青山敏弘、柏好文(61分:東俊希)、浅野雄也(61分:ハイネル)、森島司(53分:レアンドロ・ペレイラ)、FWドウグラス・ヴィエイラ(80分:エゼキエウ)

選手たちを非常に評価している(ネルシーニョ監督)

 サンフレッチェの強みは、柏好文を擁する左サイドだ。ここをいかに抑えるかが、対サンフレッチェの一つのポイントになる。この日のレイソルは敵に合わせて3-4-2-1のフォーメーションを採用。まずは人をつかまえにいった。柏好文の突破を封じるのはもちろん、供給源も抑えにいった。だが開始9分、警戒していたはずのサンフレッチェの左サイドを輝かせてしまう。

 右のシャドーを務めた浅野が左に進出し、後方からのパスを受けてワイドに構える柏好文へ。柏は浅野とワンツーで深い位置まで進入すると、ゴール前にクロスを供給。「カッシーとDFの前に触れるボールがほしい」と話していたというドウグラス・ヴィエイラが飛び込み、ヘッドでネットを揺らした。レイソル側の守備者はそろっていたが、浅野の右から左へ動き、左サイドで数的優位を生み出していたことと、ワンツーが効いた。

 先に強みを出したのはサンフレッチェの方だが、時計が進むにつれて、レイソルも強みをピッチで表現し始める。ホームチームの攻撃面の強みとは前線の大砲オルンガであり、その大砲を十全に生かす江坂の存在だ。相手を何度も押し込み、ゴールへと迫ると、前半のアディショナルタイムだった。

 大谷からのボールをセンターサークル内でオルンガが収め、左に流れていた江坂へはたく。パスを受けた江坂はダイレクトで中央へ浮き球を送ると、最終ラインから駆け上がってきた来た北爪に通った。ボールをうまくコントロールした北爪が慌てて寄せてきた佐々木のスライディングよりも一瞬早く右足を振り抜き、豪快にネットを揺らした。

 それまでもオルンガのキープと江坂の好判断でサンフレッチェ守備陣を悩ませていたが、複数人が絡み、ダイレクトパスを挟むことで、マンツーマンぎみにハマっていたカップリングにズレを生じさせた。まさにレイソルが狙っていた形だろう。前半のうちに追いついたレイソルは後半もその勢いを駆って攻め立てる。54分に呉屋、59分にもオルンガとシュートチャンスをつかんだ。

 対するサンフレッチェも60分過ぎから次々にアタッカーを交代させて攻勢に出る。78分には東のクロスにレアンドロ・ペレイラが飛び込みヘディングシュートを放つ。これはキム・スンギュの好守に防がれたが、好機を立て続けに生み出していった。攻めては守り、守っては攻める目まぐるしい攻防。ミラーゲームは80分過ぎからよりオープンな展開となっていく。最後までピッチ上の熱が冷めることはなかった。

 アディショナルタイムにもサンフレッチェはレアンドロ・ペレイラのヘディングを放つも決まらず、レイソルも戸嶋がボックス内でシュートするが相手GK林に止められ、その跳ね返りをオルンガが狙ったがDF野上のブロックにあって決め切れなかった。結局、試合は1-1で決着。激しく攻め合い守り合った末に勝ち点1を分け合う結果になった。

「勝ち点3、勝ち点1、勝ち点0、すべての可能性があったゲーム。選手がよく戦ってくれたました。その姿勢を評価したい。ただ、前半の最後の失点した、ゲームの運び方については、反省して次につなげたいと思います」とサンフレッチェの城福浩監督は語り、「大事なのは選手たちが勇気を持って最初から戦い、失点したあともあきらめずに戦ったこと。同点に持ってこれたことは非常に評価している」とレイソルのネルシーニョ監督は胸を張った。

 両指揮官も納得のゲーム。互いの強みと意欲を徹頭徹尾、出し切った90分。文字通りの好勝負だった。

取材◎佐藤 景 写真◎J.LEAGUE