明治安田生命J1リーグで11位と苦しい状況が続くヴィッセル神戸。17試合を消化して「前半戦」を終えたところだが、ケガ人も徐々に戻ってきて改めて上昇を狙っている。チームの中核を担う山口蛍の決意はやはり熱い。

上写真=山口はリーグ全試合に出場して戦い続けている(写真◎Getty Images)

「一つ勝てば大きく流れが変わるんです」

 リーグ戦の半分となる17試合を消化して、ヴィッセル神戸は勝ち点20の暫定11位。もちろん、納得などしていない。ただ、山口蛍は「基準」ができたと実感している。

「川崎とリーグ戦で2回やって強さは分かっているつもりです。引き分け(2-2)と負け(2-3)でしたけど、自分たちもうまく試合に入れれば手応えのあるゲームができたと思っています。ただ、そういう中で、いかにして勝ちに持っていくかが自分たちに足りていないこと。僕たちがいい形で入れたときに、うまく対応して逆転まで持っていけたのがいまの川崎の強さだと思います。僕たちはそこの一貫性、ブレずにやっていくことをもう少し突き詰めないといけない。勝っているときにこそ、もっと試合の状況を見ながら進めることができれば勝ち点を取れたと思う試合もあります。川崎は、実際に試合で戦っていても、試合を見ていても、そういうところがうまかった」

 つまり、試合運びの部分でもっと賢く進めればいい、という考えだ。川崎フロンターレと対戦して、自分たちにもまったくできないというわけではないという基準ができた。だから、間違いのないゲームマネジメントは自分たちにもできると信じることができる。

 チームを高める最初のパワーワードがこの「川崎基準」だとすれば、もう一つは出番を増やしている若手へのメッセージだ。ずばり「ギラギラ感を出せ!」である。

「ただ単に連戦だからターンオーバーして若手にチャンスを与えてもらうのか、いまスタメンで出ている選手を脅かすパフォーマンスをしてチャンスを手にしていくのかで、全然違うと思うんです。若手にはもっとポジションを奪ってやるというぐらいの気持ちでやってほしい。連戦なので待っていればどこかのタイミングでチャンスが巡ってくる、というような雰囲気を感じ取れるんです。がむしゃらさがいまの若手には足りていないと思っていて、例えばACLが再開してケガ人が出たときに力が発揮できるかどうか。そういうときに若手もしっかり結果を出せるように、いまからがむしゃらに、ギラギラ感を出してやってほしいと思います」

 それはもちろん、ここで何かをあきらめるつもりはないからだ。だからチーム全員が一貫性を持って、がむしゃらに戦うことが何よりも大事だと、経験豊富な山口は知っている。次の相手はセレッソ大阪。山口の古巣だ。

「一つ勝てば大きく流れが変わるんです。ホームではしばらく勝っていないので、勝たないといけない」

「セレッソは先制点を取ると強いチーム。まずは僕たちが失点しないことが大事です。まずセレッソ戦から勝ちにこだわってやっていきたい。試合に勝たないと始まらないし、サポーターの皆さんに勝ち試合を見せられていないので、まず本当にがむしゃらにやって、ハードワークして、気持ちのこもった試合をしないと勝てないと思います」

 今季リーグ戦全17試合、1471分でプレーしている。もちろんチーム最長だ。そんな山口が一番、ギラギラしている。