明治安田生命J1リーグで暫定3位のFC東京では、若手が伸び伸びとプレーしている。その一人が中村拓海。右サイドバックとして試合のたびに存在感を増していて、得意の攻撃参加を武器に経験を積んでいる。

上写真=鹿島戦ではオウンゴールを誘発するラストパスを出すなど、攻撃でセンスを発揮している(写真◎Getty Images)

「伸びしろがあると思うので」

 魅力的なキャラクターだ。さらさらの髪をなびかせて滑るように右サイドを駆け上がり、ひょうひょうと相手DFラインを突破してセンタリング、あるいは決定的な縦パスを差し込んでいく。ボール扱いもナチュラルで気負ったところがなく、すべてのアクションで肩肘が張っていない。天性の身体操作のセンスなのだろうか。

 第12節の湘南ベルマーレ戦で初先発して以来、リーグ戦は全試合に出場。室屋成が移籍して空いた右サイドバックのポジションで、すっかり主軸として認識される立場になった。

 体力面には何の心配もない。連戦にも「高校のときはインターハイでも休みがなかったし、80分のゲームを1日に3試合とかあったので、タフにやれる体力はまだ若いしあるという感じです」と気にしていないし、「いい緊張感でやれていると思うので、若いし思い切りの良さが売りなのかなと思っています」と、若さをアピールして屈託がない。

 とはいえ、課題も試合ごとに見つけている。

「センターバックとの連係とか中を締めてクロスに対応するところには伸びしろがあると思うので、意識してやっていければと思います。攻撃ではある程度、つなげたり落ち着いてできるので、結果を残さなければいけないなと」

 感覚的には守備をよりタイトに整えながら、手応えのある攻撃でアピールしていく、という位置づけだろうか。攻撃についてはすっかり自信をつけたようで、楽しそうにピッチを駆けている。

「ボールを持ったら前から(パスコースを)探していて、そこでいつもディエゴ(オリヴェイラ)や(永井)謙佑くんがいいところに入ってきてくれるので出しやすいです。自分も体の向きでそっちには出さないよという雰囲気や目線を意識して作っているので、いい感じで通ってるのかなと思います。結構引っかかってくれるので、ゲーム感覚でやれているというか、楽しいのでできていることなのかと思います」

 プロのピッチでの駆け引きを「ゲーム感覚」ととらえることができるほど、怖いくらいに自然体。そこはかとなく漂う大物感が面白い。

「やることが明確になってきたので、あとはそのレベルをどんどん上げていかなければいけないと思うし、謙虚にやっていけばいいと思います」

 ここから「本物」になるために大事なのは、「謙虚」というメンタルの部分なのだ、と自分を諭すように話して進むべき道を示してみせた。