上写真=キャプテンとしてチームをけん引する清武(写真◎GettyImages)
■2020年9月13日 J1リーグ第16節(@日産ス:観衆4,918人)
横浜FM 1-2 C大阪
得点:(横)エリキ
(C)清武弘嗣、高木俊幸
後半に見せた修正力
清武のビューティフルゴールが試合の流れを変えた。横浜FMに先制を許してから6分後の58分、坂元達裕からの落としを受けるとダイレクトでシュートを打った。ゴールまで約25メートル。「キーパーが(前に)出ているのを前半から見ていた。あのシーンもタツ(坂元)が持って『来るな』と思った瞬間にパッと見たら出ていたので、狙い通りです」。右足から放たれたシュートは美しい放物線を描いて相手GKの頭上を越し、ネットに吸い込まれた。
このゴールで反撃の狼煙を上げたC大阪は、ボール支配率を高めて主導権も掌握。そして終了間際の86分に途中出場の高木俊幸が決勝点を挙げ、今季初の逆転勝利を飾った。前半は相手の激しいプレスに押され、ポストとクロスバーに救われるなど冷や汗を流したが、それでも理想を捨てなかったことが勝因だと清武は語る。
「僕が前半にロングボールを蹴らなかったのは『こういう相手に対しても自分たちがボールを握ってサッカーをしよう』とチームメイトにも見せたかったから。後半はそれがうまくいった感じがあるので、どんな相手に対しても自分たちがやりたいサッカーをやるべきだと思います」
ハーフタイムには「頑張ってボールをつなごう」と味方に声を掛けたという清武。後半は自らの判断で立ち位置を少し下げ、左サイドでゲームを作る役割に比重を置いた。「ピッチに入った選手が立ち位置を変えるのは(ロティーナ)監督もイバンコーチも許してくれているので、そこは臨機応変に対応しています」。日本代表や海外でのプレー経験も持つ清武の戦術眼は、チームの大きな武器となっている。指揮官も清武について「試合を落ち着かせるだけでなくゴールも決め、守備もハードワークしている。チーム全体の模範でもあるし、彼のプレーには満足している」と賛辞を惜しまない。
ロティーナ体制2年目の今季は安定感が増し、開幕から上位をキープするC大阪。清武は「やりたいサッカーを突き詰めている段階だけど、去年よりも断然良くなっている」とチームの成熟度に手応えを感じている。今季の目標は悲願のリーグ優勝。首位・川崎フロンターレを追走するために負けられない試合が続くが、「後半はこれからのセレッソを見せられたんじゃないかなと思います」と自信を示した。
取材◎多賀祐輔 写真◎Getty Images