明治安田生命J1リーグで名古屋グランパスがしっかりと上位につけている。第15節では昨季王者の横浜F・マリノスを逆転で下して意気上がる。立役者となったガブリエル・シャビエルはその変幻自在なプレーで魅了している。

上写真=真面目な性格からファンタジーあふれるパスを生み出す(写真◎Getty Images)

必要に応じてスタイルは変わる

「グランパス2020」の価値を示すような、素晴らしい勝利だった。そしてその勝利を左足で導いたのは「魔法使い」ガブリエル・シャビエルだった。

 9月9日の明治安田生命J1リーグ第15節。昨季王者の横浜F・マリノスに立ち向かっていった名古屋は、開始早々に先制されながらも24分にマテウスのセンタリングからガブリエル・シャビエルが同点ゴール、74分にはガブリエル・シャビエルのクロスからマテウスが決めて逆転したのだった。

 マテウスが右サイドを縦に突破して送ったゴール前を横切るセンタリングを、ファーで待ち受けていたガブリエル・シャビエルが左足で丁寧に押し込んだ同点弾、中盤右で奪ったボールを素早く左に展開、ガブリエル・シャビエルがDFの頭を越えて鋭く落ちていくアーリークロスを左足で送って、マテウスが右足でワンタッチシュートを左サイドに流し込む難易度の高い逆転ゴールと、いずれも技術の粋を集めたような美しさだった。

「大きな勝利だったと思います。チーム全体がいいバランスでした。攻撃がうまくいくには全体がうまくいかなければダメで、攻撃だけいいというわけではありません」

「FWが動いてくれなければパス出せません。マテウスがしっかりとした動きをしてくれて、僕のアシストからゴールが生まれて良かった。こういうボールを出せばシュートで終われるんじゃないかと予測した上で、狙った通りのパスが出せました」

 ガブリエル・シャビエルをつい「魔法使い」と呼びたくなるのは、その左足のテクニックが輝きを放つから、なのはもちろん、どんな役割も変幻自在にこなすことができるからだ。

 例えば、対戦相手によってプレースタイルを変えること。

「試合によって必要とする役割があります。マリノス戦は相手がラインを高く保ってきているので、その裏を狙いながらという目的があります。一方で守備が堅いチームのときは試合を作りにいくという意識でプレーします。必要に応じてプレースタイルや役割は変わるのです。だから、実際の試合の中で貢献できたことに本当に満足しています」

 例えば、ポジションによって意識を変えること。

「トップ下でもサイドでもプレーしていますから、どちらもやっていて難しいとは思いません。サイドの方が守備の心配をしなければいけないという状況は多いですけれど、トップ下でもサイドでも自分のサッカースタイルの中で合わせるようなプレーをしたり、チームがやりやすくなるポジショニングを取っていくという意識が高いですね」

 その左足からまた七色のパスが繰り出されるとき、名古屋は勝利に近づくだろう。