前節の大分戦で約2カ月ぶりに復帰したFC東京のFW田川亨介が9日、横浜FC戦に先発し、今季初ゴールを決めた。先行される苦しい展開の中でスコアした同点ゴールだったが、本人は1点で満足せず。さらなる活躍と貢献を誓った。

上写真=積極的なプレーと得点でチームの勝利に貢献した田川(写真◎J.LEAGUE)

■2020年9月9日 J1リーグ第15節(観衆4,941人/@味の素)
FC東京 2-1 横浜FC
得点:(F)田川亨介、原大智
   (横)皆川佑介

洋次郎くんが一歩遅らせてと…

 ゴールを決めた直後に見せた絶叫が、この一戦に懸ける思いの強さを物語っていた。30分、田川はゲームを振り出しに戻す同点ゴールを決めた。

 相手の最終ラインと駆け引きしながら裏のスペースをうかがう。アンカーの髙萩洋次郎がボールを持った瞬間、タイミングよく、動き出した。一気に加速し、左CBと左サイドバックの間へ走り出す。そこへ髙萩から鋭い縦パスが送られた。

「洋次郎くん(髙萩)がボールを持ったときに何回か裏に抜け出していたんですが、洋次郎くんが『動き出しが早いから一歩遅らせて』と言っていたので。そのタイミングで動き出したら良いボールを出してくれて。ターンも悪くなかったのでその流れで点を取れて良かったと思います」

 二人の阿吽の呼吸で、横浜FCの守備網を破ってみせた。髙萩のパス精度も見事だったが、受け手となった田川のシュートまでの動作も見事だった。パスを受けた瞬間、左回りにターンをしながらボールの収めて、反転する勢いを利用して右足を振り抜き、ネットを揺らしている。ボールをインパクトするまでの流れがスムーズかつスピーディーで相手GK南雄太もなす術がなかった。長谷川健太監督も「難しい展開でしたけど、よく逆転で勝ってくれた。1点を先制された中で(田川)亨介が初ゴールを決めてくれた。大きな得点だと思います」とそのゴールを称えた。

 7月12日の横浜F・マリノス戦で左肩関節脱臼という負傷を負い、前節の大分トリニータ戦で約2カ月ぶりに復帰したばかり。今季のチームには強力なアタッカー陣がそろい、戦列を離れている間には原大智や内田宅哉ら若手も存在感を示していた。焦りがなかったと言ったら嘘になる。

「まだまだ他の選手もいっぱい点を取っているので、そこに負けないように食らいついていかないといけない。コンディションも上がってきているので、もっとチームのために守備のところも突き詰めていきたいと思っています」

 本人にはとっては遅すぎた今季初ゴールなのだろう。感想を聞かれても、口にしたのはこれからのこと。渇望するFWの本領発揮も、ここからだ。

取材◎佐藤 景