ヴィッセル神戸のDF渡部博文が川崎フロンターレ戦を前にオンラインでの取材に応じた。チームはリーグ戦で3試合ドローが続くなど勝ち切れていないが、渡部は自分に対してと、若い選手に対して「今こそチャンスだ」と発破をかけた。

上写真=オンライン取材で川崎F戦に向けて意気込みを語る渡部(写真◎VISSEL KOBE)

後ろにジャンプするか、前にジャンプするか

 神戸は今季、連敗もないものの、連勝もない。ここ4試合負けはないが、12節の浦和レッズ戦(8月23日)に2-1で勝利した後は3戦連続引き分けと、勝ち切れない試合が続く。

 そんな状況において先発の機会を増やしているのが渡部だ。第7節からベンチスタートとなっていたが、ここ2試合はトルステン・フィンク監督から先発で起用されている。

 最近は守備だけではなく、左足のフィードも成長しているのではないか。そう問われた渡部は「フィンク監督になってからずっと言われ続けたことであり、やるべきことを日々の練習から落とし込んでやり続けた結果」と語った。

「なかなかスタメンを取れなかったが、交代で出る回数が増えていった。失うものがなかったので、出たらチャレンジしようと思っていた。そういうものが身に着いてきた感覚がある」

 謙虚な話しぶりではあるが、その言葉には自信がにじむ。

 今日9日には、首位を独走する川崎Fと対戦する。3週間で3度目の顔合わせであり、2日のルヴァンカップ準々決勝では0-6という大敗を喫した相手。試合のポイントついて渡部は相手よりも自分たちの内部にあると語る。

「(ゲーム)プランはいつも通りですが、正直メンタルのところだと思っています。中心選手がケガをして出られない中で、僕や若い選手が『借りを返すチャンスだ』、『自分が活躍するチャンスなんだ』と思うことでプレーの質は変わってくると思う。ボールが来たときに、後ろにジャンプするか前にジャンプするか、ちょっとしたことで変わってくると思う。僕自身も若い選手に『今はチャンスだぞ』と言っている。メンタル面でチームとしての底上げをするチャンスなのかなと思っています」

 柏レイソルを振り出しに、計4クラブでのプレーを経験してきた。神戸では2017年から主力としてプレーしたが、昨季はリーグ戦6試合出場にとどまった。それでも出場機会を取り戻した男の言葉は、説得力を伴う。

「プランというよりも、川崎相手に怯むことなく、いま出られる選手でチャレンジしていきたい」

 チャレンジする相手として、現在これ以上のチームはない。渡部も神戸も、大きな飛躍のチャンスにするつもりだ。

取材◎杉山 孝