柏レイソルのネルシーニョ監督は7日、ガンバ大阪戦を前にオンラインで取材に応じた。CBに故障者が相次ぎ、不安視されたが、指揮官は3バックの採用で連勝を実現。逆境を逆手に取って乗り越える手腕とチーム力でG大阪戦も勝利を目指す。

上写真=ピッチサイドから選手を鼓舞するネルシーニョ監督(写真◎Getty Images)

G大阪戦のポイントはスペースの活用

 CBに故障者続出し、最終ラインの編成もままならない状態の中で、指揮官はそれまでの4バックから3バックに変更を決断。ルヴァンカップのセレッソ大阪戦ではアウェーゲームながら3ー0で快勝。続くJ1第14節の清水エスパルスとのアウェーゲームにも2-1と勝利を収め、見事に公式戦2連勝を飾った。

 山下達也、大南拓磨、染谷悠太らが戦線離脱している中、8月29日の鹿島アントラーズ戦で高橋祐治が負傷し、いよいよCBの選手が足りない状態に陥っていた。鎌田次郎の復帰は朗報だが、それでも本職ではない川口尚紀やサイドバックでの出場が多い古賀太陽らを起用せざるを得ない状況。戦力ダウンを不安視される中、幾多の修羅場を潜り抜けてきた指揮官は、準備期間がほとんどない中で新システムの採用に踏み切ったのだった。

「(結果を出せた)要因として挙げられるのは、まず選手の理解と適応力だと思います。昨年から3バックというのは何度かチームとしてトライしてきました。この状況、つまりレギュラー格のCB4人がケガで出場できないという状況を強いられている中で、なんとか守備を安定させる手を打たなければならなかった。そこでシステムを変えた。セレッソ大阪戦の前日に、選手に対して意図や戦術的な狙いを伝えました。堅い守備から攻撃に出て行くというところです。それを選手たちが理解し、実践してくれた。何と言っても昨年からの積み上げと、彼らの理解度、適応力がすべてだったと思います」

 ネルシーニョ監督はシステムを機能させた選手たちを称えた。次節(9日)のガンバ大阪戦も同様に3バックの採用が濃厚だが、指揮官は手応えと自信を得ている様子だ。G大阪とは今シーズンのスタートとなった2月16日のルヴァンカップ開幕戦で対戦し、敵地で1-0の勝利を収めている。

「前回対戦した際は、うちもガンバもそうだと思いますが、シーズンの初めであり、物足りなさの残る、そういうゲームだったと思います。その当時とは置かれている状況が違うでしょう。相手もわれわれと同様に、技術的なクオリティーがあり、ポゼッション(サッカー)を志向している。選手間の距離が近く、良い連係連動から相手の守備を崩そうとするチームです。お互いに良く知っているチーム同士の対戦とも言えますが、われわれとしては相手の組織的の中にできる、スペースをいかに効率よく突いていけるか、いかに活用できるかが、ポイントになると思います。われわれが相手が攻撃に出てきたときにボールを奪い、効率よく攻めるチームでもあるということはよく分かっているでしょう」

 手の内は知られていても、それを上回ればいい。緊急事態にも動じずチームを最適化してみせた指揮官は、連勝を延ばす手筈も整え済みか。さらなる上位を目指すために互いに負けられない5位柏と6位G大阪の対戦。ネルシーニョ監督の手腕に注目だ。