明治安田生命J1リーグは9月9日に第15節を迎える。名古屋グランパスが昨季王者横浜F・マリノスを迎える一戦は激戦必至だ。名古屋のマッシモ・フィッカデンティ監督は「続ける」という意志を貫いて勝利を求めていく。

上写真=フィッカデンティ監督は選手に「連敗したからといって変えてはいけない」と語る(写真◎Getty Images)

ブレずに続けていこう

 JリーグYBCルヴァンカップ準々決勝でFC東京に0-3で敗れ、明治安田生命J1リーグ第14節でも鹿島アントラーズに1-3で黒星。公式戦2連敗の中で、マッシモ・フィッカデンティ監督が選手たちに伝えているのは「ブレないこと」だ。

「選手たちに特別な一言で何かを伝えるようなことはあまりしませんが」と前置きした上で、こんな風に続けている。

「どういう試合をすべきか、ということは、自分たちの感覚で決めていかなければならないのは当然のことだと思います。どのように皆さんに見えたかは分かりませんが、ここは続けていかなければならないという部分や、継続して取り組んできたことをふくらませていく部分は、連敗したからといっては変えてはいけないんだ、やり続けていくぞ、もっともっと良くなっていくんだ、しっかりやろう、と。あえて選手に分かってもらいたいメッセージを一言で選ぶならば、『ブレずに続けていこう』ということです」

 明るいニュースと言えば、阿部浩之の復帰だろう。7月22日の第6節・大分トリニータ戦で負傷したあと治療に専念、9月2日のJリーグYBCルヴァンカップ準々決勝のFC東京戦で79分から、続く5日のJ1第14節・鹿島アントラーズ戦では66分からピッチに送り出した。以前の会見の場でもフィッカデンティ監督は、スピードのある攻撃には米本拓司と阿部の存在が大きいことについて触れてきていて、ようやくの復帰で期待はふくらむ。

 ただそれは、短絡的な待望ではなかった。

「監督として言っておきたいのは、阿部がいないときに他の選手がすごくよくやってくれたということです。誰かが“阿部の代わり”になるのではなくて、それぞれの良さを生かして戦ってくれて、実際に結果を出してくれました。ですから、阿部がケガをする前のサッカーに戻す、というよりは、この時期に選択肢を増やすことができたわけで、阿部が入ったらシーズン当初のサッカーもできますし、中盤とディフェンスラインの間に入って前後をつないで気の利いたプレーができる部分は、阿部の代わりに他の選手はできませんが、そうでなければこれまで出た選手が見せてくれた可能性もあって、試合に合わせて使っていけばいいと思います」

 積み上げたものに価値があるから、単に時計の針を戻すだけではない、という意思表示だ。そんなチームの地力を計るには、次節は願ってもいない相手かもしれない。昨季チャンピオンの横浜F・マリノス。かなり骨のある相手だが、だからこそ倒しがいがある。

「すごく独特な戦い方をするチームだと思います。チャンピオンになったという結果を出しているので、強いのは間違いありません。前からすごくプレスかけてきて高いラインを保ってきます。マリノスがグランパスにやられたくないこと、我々がマリノスにやられたくないことを分析した上で、向こうのプレスがはまらないで、ディフェンスラインの後ろにスペースがあればそれだけ我々のスピードは生きますので、そういうシーンが試合の中で多く作れるように準備をしています」

 ハイラインvsカウンター。そこにベースを置きながらも、臨機応変に攻め合う熱い試合になることだけは間違いなさそうだ。