昨季のJ1王者、横浜F・マリノスに敵地で快勝した川崎フロンターレのキャプテン、谷口彰悟は試合後に取材に応じた。口にしたのはチームへの信頼と自信。首位を走るチームの勢いは、まだまだ止まりそうもない。

上写真=後半途中からどしゃ降りとなったが集中力を切らすことなく戦った川崎Fの谷口(写真◎Getty Images)

■2020年9月5日 J1リーグ第14節(観衆4,971人/@日産ス)
横浜FM 1ー3 川崎F
得点:(横)マルコス・ジュニオール
   (川)三笘薫2、家長昭博

リーダーシップを取ってやる選手が多くて頼もしい

 前半のうちに追い付きはしたものの、先制され、何度か決定機を許した。開始から45分間の内容は決して満足できるものではなかった。しかし、今季の川崎Fには修正力がある。キャプテンの谷口彰悟が明かした。

「前半に追いついたという手応えがあり、みんなも冷静に相手を分析できていたと思います。具体的には言えませんが、ここが空いている、こういう風にやったら点が取れるだろうというところは話をしていました。ハーフタイムに監督にも同じことを言われたので整理して後半に臨めました。その結果、追加点が取れた。非常に良かったと思います」

 後半開始からレアンドロ・ダミアンに代えて小林悠、脇坂泰斗に代えて旗手怜央をピッチに送り、フレッシュな選手を入れることで圧力をかけた。結果、狙い通りに横浜FMのビルドアップを寸断してペースを握る。そして家長昭博の得点が生まれ、三笘薫のこの日2点目が決まる。川崎Fは、首位に立っている力をまざまざと見せつけた。

 相手の特徴であるハイラインを攻略する手立ても、チームでしっかり共有し、実行していた。谷口が説明する。

「オフサイドにかかりますし、GKも高い位置を取っているので、スペースはあっても簡単には突破できない。それは他のチームとの試合を見ていても感じていました。だからシンプルに狙うところと、少し工夫して対角で狙ったり、同サイドでやったり。そのあたりの使い分けが今日はできていたと思います。(勝利は)そこを整理して臨めた結果でした。一人ひとりが相手のプレッシャーを受けてもボールを持てる、ターンできると。その部分で勝負してきたチームですし、そこがうちの良さだと、改めてやりながら感じました」

「昨シーズンのホーム最終戦でマリノスにやられたのは、去年からいる選手は忘れていないと思います(●1-4)。だから今日は本当に勝ちたいという気持ちが強かった。立ち上がりに失点しましたが、落ち着いて逆転できました。そこに、チームの力強さを感じました。自分たちは、攻撃力とクオリティーで勝負ができるところを今日も証明できました。
 相手を見てやれるのが、このチームの強み。そこを今日もみんなが感じ取って、前半が終わってから後半に向けて整理した状態で臨めたのも良かったと思います」 

 敵を知り己を知れば百戦危うからずーー。孫子の兵法に出てくる有名な一節だ。川崎Fは相手を見る(知る)と同時、自分たちをよく見る(知る)。相手の何が特徴で、自分たちのどんな特長を生かし得るのか。それを試合の状況に応じて調整して発揮することができる。この点が、他のチームと一線を画している点と言えるかもしれない。

 J1王者にリベンジし、川崎Fはいよいよチームは独走態勢に入った感もある。「このチームはリーダーシップを取ってやる選手が多くて頼もしい」。現状に甘んじる選手などおらず、向上心も十分。そう語る谷口キャプテンの表情は、実に誇らしげだった。