柏レイソルのネルシーニョ監督が、ルヴァンカップの準々決勝、セレッソ大阪戦を前に取材に応じた。CBにケガ人が相次ぐ苦しい状況も、指揮官はタイトル奪取に向けた「重要な試合」と位置付け、全力で戦うと意気込んだ。

上写真=故障者が続出している柏。ネルシーニョ監督はどんな采配を見せるのか?(写真◎Getty Images)

古賀も川口も非常によくやっている

 C大阪は今季のリーグ戦では、ホームで1-3と敗れた相手だ(8月15日、J1第10節)。しかし、ネルシーニョ監督は「リーグ戦と同じ過ちを繰り返さない。一度、今季、対戦しているところで、相手の戦い方、どのようにわれわれに対して挑んでくるのかについては、情報がありますので、そこに基づいてしっかりと準備をしたいと思っています」と話す。

 今季のルヴァンカップは新型コロナウイルスの影響により、大幅にレギュレーションが変更されている。1回戦制のグループステージ(D組)で3連勝を飾り、首位でプライムステージに進出した柏は、同じく1回戦制のプライムステージ(決勝トーナメント)の準々決勝でC大阪と相まみえることになった。決勝戦を除き、延長戦はなし。90分で決着がつかなければ、即、PK戦に突入する。

「セレッソにとってもウチにとってもファイナルまで戦うつもりで臨む試合です。水曜日(9月2日)のゲームで勝利を収めなければいけない。その状況はお互いに同じ。そのことを踏まえてベストを尽くしたい。試合までの限られた時間ですが、準備を整えたいと思います。アウェーになりますが、今シーズンの非常に重要な試合という位置づけでいますし、セミファイナルに進めるようにしたい」

 ベストを尽くす、と誓うが、チームは今、苦しい状況にある。CBに故障者が相次ぎ、チームでサイドバックとして出ることが多かった古賀太陽をCBで起用していた29日の鹿島アントラーズ戦で、2CBを組んでいた高橋祐治までもが負傷。CBを本職とする選手が4人も負傷する事態に陥った。

「本来であれば5人、CBを本職とする選手がいる中で、現状4人がケガしてしまっている。必然的にキャパシティのある選手をコンバートしないといけない状況にあるわけですが、川口(尚紀)については日ごろからよくやってくれていると思っています。古賀太陽についてもサイドバックでプレーする機会の方がずっと多かったわけですけど、同じくこの不測の事態に際して落ち着いてゲームに入ってくれている。もちろん、ケガ人は非常に心配ではありますが、この状況を選手は理解してくれて練習をしていますので、何とか乗り越えられればと思います」

 まさにスクランブル状態で負ければ終わりの1発勝負に臨まなくてはならないが、指揮官は冷静だ。

「セレッソは非常に組織的なチームで、基本的には4-4-2のシステムを採用し、攻守においてコンパクトにラインを敷いてくる。攻撃では相手のライン間を流動的に選手が動きながらテンポよくボールを動かしてタイミングをうかがう。そんな明確な戦術のもとで、相手のスペースを突くのがうまい。
 90分間で勝敗を決めないといけないゲームだと思っています。われわれとしてはしっかりとボールを握ることが重要。持っているクオリティを最大限発揮しながら、ゲームの入りからしっかりアラートし、瞬間瞬間で戦術に基づいてプレーしなくてはならない。非常に拮抗した試合になるのではないかと思っています」

 前回、チームが国内タイトルを手にしたのは2013年。まさしくこのルヴァンカップ(当時はヤマザキナビスコカップ)だった。そしてその当時、チームを率いていたのが他ならぬネルシーニョ監督だ。翌年、いったん柏を離れることとなったが、いまだクラブに最も多くのタイトルをもたらした指揮官であり、『柏を勝たせる』ことにかけては右に出る者がいない。

 ネルシーニョ監督自らが「マッチ・オブ・シーズン」と位置づけるC大阪戦。どんな戦いを見せるのか、注目される。