8月29日に等々力陸上競技場で行なわれたJ1リーグ第13節で、清水エスパルスは川崎フロンターレに0-5と完敗。試合途中からキャプテンマークを巻いたDF立田悠悟は、川崎Fとのクオリティーの差を痛感し、チームの意識統一とレベルアップの必要性を実感を込めてしみじみと語った。

上写真=今季ここまでチームトップの出場時間を記録している22歳のDF立田(写真◎J.LEAGUE)

■2020年8月29日 J1リーグ第13節(@等々力:観衆4,798人)
川崎F 5-0 清水
得点:(川)旗手怜央2、レアンドロ・ダミアン、中村憲剛、三笘薫

「お手本のようなサッカーをされた」

 悔しすぎる完敗にも、立田はむしろさばさばした様子で言い切った。「見て分かるとおり、すべてにおいてクオリティーの差を感じた」。悔しさを通り越したかのような表情だった。

 前半から川崎Fに押し込まれた。最終ラインからビルドアップしようにも、相手のプレッシャーでボールを失う場面が続く。逆に川崎Fにはスコンスコンと鋭い縦パスを何度も通され、前半は1失点で終えたものの、後半だけで4失点。立田自身は足をつらせ、84分で担架に乗せられてピッチを後にした。

「誰のパフォーマンスが良い悪いではなく、もっとチームとしてクオリティーを上げないといけない。それに尽きると思う」。3人置かれている今季のキャプテンの1人として、チーム全体に視野を広げる。

 川崎Fとの一番の違いに挙げたのが「フリーの概念」だった。「相手(DF)が近くにいても、川崎はすぐにパスをつける」が、清水は受け手と出し手の「フリー」の認識に差があった。

「出し手がフリーだと思っても、受け手が『出さないでくれ』というスタンスになると、パスは成立しない。ポゼッションサッカーをするなら、もっと試合で覚えないといけない。本当にお手本のようなサッカーをされてしまった」

 立田自身、ビルドアップで意識の高さを見せてはいた。「絶対に(相手を)1枚はがすビルドアップをしようと思っていた」。中盤に当てて、細かくつなごうとした。だが、その強気が周囲とシンクロせず、結果的にパスが乱れて低い位置で相手にミスをさらわれる場面も散見された。「もっと自分がリーダーシップを持ってやらないといけなかったと思う」。矢印を自分に向けた。

 第6節から2勝を含む5戦無敗の時期があったが、これで3連敗となった。「この結果は軽く受け止められないと思う。もっとチームで話さないといけない」。下を向いている時間はない。

現地取材◎杉山 孝 写真◎J.LEAGUE