首位を独走する川崎フロンターレの進撃を止めたのは、やはり同じく好調の名古屋グランパスだった。だが、シーズンはこれで終わりではない。マッシモ・フィッカデンティ監督率いる赤鯱軍団が新しいパワーを手に進んでいく。

上写真=選手との揺るぎのない信頼関係で勝利を重ねていく(写真◎Getty Images)

触れられたくないところにも

 ついに川崎フロンターレの連勝を止めた名古屋グランパス。そんな興奮のゲームを終え、久々に週中にゲームが予定されていなかったので、チームは2日間のオフになった。

 マッシモ・フィッカデンティ監督もリラックスできたようだ。貴重な時間を過ごした場所は、名古屋グランパスのクラブハウス。

「日曜日に試合があって、月曜日にはクラブハウスでリハビリ中の選手の状況をいつも以上に時間をかけて見ることができました。それから、いまなかなか雑談をする時間もないので、試合の緊張感のある中では普段触れないようなことをクラブ関係者とリラックスして話ができました。結局、24時間グランパスのために働いていることになるので、クラブハウスに来て『休日のグランパス』にいました」

 どれだけこのクラブが好きなんだ! とカジュアルに言ってみたくもなるけれど、軽口が失礼になるほど、仕事にプライドを持って集中しているというわけだ。

 もちろん選手たちにとっては、このオフは有意義になったという。

「気持ちの面でも体の面でも、久しぶりに選手が休んでリフレッシュできました。これが次の試合の結果につながるかどうかということではなくて、ケガをしないように休めることができたという点でよかったと思います」

 一息ついたところで、次の週末からまた連戦が始まるが、好調だからといって特別なことはしないというのがフィッカデンティ流。

「選手たちといい関係ができている中で、敗戦のあとでかける言葉としては、次に向けて、あるいはもっと先を見据えて、(敗戦を)前向きにとらえて成長のきっかけにしようというものになります。逆にうまくいっているときは、触れられたくないところにも触れていきます。うまくいっているんだからいいじゃないか、ではなくて、どれだけ向上心を持って取り組むことができるのか。勝ったら何でもあり、負けたら全部ダメ、という簡単なものではない、という価値観を選手と一緒に持っているので大崩れすることはないですし、そのことをパワーにして進んでいます。だから、選手が理解して取り組んでいることに自信を持って、何か特別な声を掛ける必要はないんです」

 強固な信頼関係をうかがわせるが、ここからうれしいプラスアルファがある。ケガ人の復帰だ。米本拓司と阿部浩之のカムバックが現実的になってきたという。

「米本も阿部も今週から練習に合流していて、治療やリハビリの期間は終わっています。ここから試合に向けたコンディションを上げていって、米本は札幌戦までに入ってくるでしょう。阿部はもう少し様子を見ますが、満足しています」

 2人とも8月1日の第8節柏レイソル戦から欠場しているから、およそ1カ月の不在だったが、これでさらにパワーアップすることは間違いない。

 首位・川崎Fとは勝ち点9差。消化試合数は名古屋が2試合も少ない。まだまだシーズンはこれからだ。