横浜F・マリノスは23日、ホームでサンフレッチェ広島を下し、今シーズン初の連勝を達成した。この日、26歳の誕生日を迎えた喜田拓也は試合後、この一戦を迎えるまでに多くの人々のサポートがあったことへの感謝と、この勝利の意味を語った。

上写真=今季初の連勝を達成した横浜FMのキャプテン、喜田(写真◎Getty Images)

■2020年8月23日 J1リーグ第12節(観衆4,771人/@日産ス)
横浜FM 3ー1 広島
得点:(横)マルコス・ジュニオール、ジュニオール・サントス、エリキ
   (広)レアンドロ・ペレイラ

全員ができることをやり尽くした

 指揮官自らがベストゲームという内容で広島を下し、横浜FMは今シーズン初めて連勝を飾った。ただ、キャプテンの喜田は「満足感はない」と、きっぱり言った。

「自分はこれまでの結果にまったく満足できていませんし、1つの連勝で喜んでいるチームではありません。満足感はないですし、みんなも、勝利の欲が出てきていると思います」

 昨シーズン、15年ぶりにリーグ優勝を果たした横浜FMが今シーズン狙っているのは、リーグ連覇であり、複数タイトルの獲得だ。その意味でリーグ戦の8位に甘んじている現状に満足できるわけはない。首位の川崎フロンターレの差は14ポイント。まだまだ試合数が残されているとはいえ、不安定な戦いぶりを払しょくし、1日でも早く昨季のように相手を圧倒して勝っていく流れを作る必要がある。つまりは、勝利を重ねていかなくてはならない。

 この試合を迎える過程で、そんな思いをいっそう強くしていた。3日前の金曜日にトップチームスタッフに新型コロナウイルスの陽性反応が出て練習が急きょ中止になった。選手、スタッフらはPCR検査を受けることとなり、昨日土曜日に結果が判明。院政を確認し、午後になって練習できることになったが、クラブは限られた時間の中でスタッフ総出で準備を整えた。試合を迎える状況としては万全ではなかったかもしれないが、クラブに関わるすべての人々がそれぞれの立場でベストを尽くした。それはチームとして、クラブとして、改めて一丸となって戦っていることを再認識する出来事だった。

「昨日(22日)、結果判明後に練習をしました。制限は多かったのですが、(この試合に向けて)言い訳をするつもりは一切、ありませんでした。練習するにあたって、チームスタッフが総動員で短時間で準備してくれました。(試合に向けて)最高の準備をするために、全員が動いてくれた。その姿を目の当たりにしていたので、ピッチに立つ僕たちが言い訳をしている場合じゃないという気にさせられました。年齢的に上の方たちですけど、そういう仲間を持てていることを誇りに思います。そして準備の段階で、全員ができることをやり尽くしたからこそ、勝利という結果を得られたと思います」

 この日、26歳の誕生日を迎えたキャプテンは感謝を口にした。広島戦で得た勝ち点3は、ただ3ポイントではない。今季初の連勝を達成しただけでも、昨季のような攻撃姿勢を示して相手を凌駕しただけでもない。何より大きいのは、クラブが一丸となって臨み、勝利つかんだこと。

「こういう世の中の状況ではありますが、こういう日に素晴らしい仲間と素晴らしい舞台で真剣勝負できるということをうれしく思いました。今日、たくさんの人たちからおめでとうと言ってもらいましたが、メンバーに入れなかった選手たちが試合に送り出してくれるときに笑顔で『おめでとう』と『やってこいよ』と言ってくれて、気持ちが入りました。彼らも悔しい思いをしている中で、試合に向けて最高の準備をしてくれたし、チームが勝つためにそういった振る舞いをしてくれたことに本当に感謝しています。
 今季初めて連勝できたというのは、自分の誕生日というのを抜きにしても、チームにとっては良いことだと思います。本当に仲間に恵まれているなと。最後に円陣を組んだときに、皆さんに見えたかどうかは分かりませんが、ああいう形で祝福してもらって、たくさんの人に言葉をかけてもらって、またファン・サポーターの方も横断幕やユニホーム、フラッグなどたくさん掲げていただき、感謝の気持ちでいっぱいです」

 一つになったチームは強い。団結するクラブは強い。この日の勝利と喜田の言葉が、そのことを示していた。1つの連勝では終わらないーーそれが喜田拓也、26歳最初の誓いになった。