FC東京のルーキー、安部柊斗が明治安田生命J1リーグ第11節のサンフレッチェ広島戦でJ1初ゴールを決めた。がむしゃらなプレースタイルに中心選手としての自覚を身につけて、チームを牽引しようとしている。

すっかり金髪が安部のトレードマークに。ピッチのどこにいてもすぐ分かる!(写真◎FC東京)

「あれこそインサイドハーフの…」

 うれしいJ1初ゴールだ。明治安田生命J1リーグ第11節のサンフレッチェ広島戦で、安部柊斗が一時は2-1とする逆転ゴールを22分に決めた。

 ゴールに向かってやや左、ペナルティー・エリアの手前でスペースを見つけ、両手で自分の足元を指し示してアルトゥール・シルバからの縦パスを引き出すと、そのままボールに触らずに流してターン、ボックス内に進入して左足で丁寧に流し込んだ。「いままでも何回もチャンスあった中で決めきれなくて、そろそろ決めたいと思っていた中で逆転ゴールでもあったので素直にうれしかった」と初々しい。

 試合は残念ながら3-3のドローとなったが、これが、J1とJ2を通じてFC東京のクラブ通算1000ゴール目となるメモリアル弾。初ゴールの喜びが、先人たちが積み上げてきた思いによって倍増した。「僕は知らなくて、試合が終わったあとに教えてもらったんですけど、素晴らしい記録を自分のゴールで更新できて誇らしいと思います」とかけがえのない一発になったのだった。

 FC東京が今季チャレンジしている4-3-3という立ち位置をベースにしたサッカーにおいて、紆余曲折がありながら、長谷川健太監督も「安定してきた」として一定の水準をクリアし始めた。その礎になっているのが、アンカーに高萩洋次郎、その前の右にアルトゥール・シルバ、左に安部が並ぶ逆三角形だ。

 スタンドから見ても、金色に染めた髪のおかげで安部がどこにいるのかすぐに分かる。こちらのゴール前にいたと思ったら、次の場面では相手ゴール前で戦っている。とにかく走る。そして奪う。狼のように。

「自分の特徴はハードワークと運動量です。だからきついと思っていないですし、そういうプレーを目指しているので、もっともっとピッチ全面を使ってプレーしたいと思います」

「チームのために献身的に戦いたいと思っています。チームの勝利のためにプレーしているので、運動量や球際で勝つというプレーが必然になるんです」

 特に「インサイドハーフがゴールを決めると攻撃の幅が広がる」と長谷川監督も広島戦の安部のゴールに目を細めているが、走ることは当然として、インサイドハーフというポジションでは守備でも攻撃でも具体的にどんなことを意識しているのだろうか。

「守備の部分では(左FWの)レアンドロと(左サイドバックの小川)諒也くんと連係を取ってできていて、自分ではまずはレアンドロの位置を気にしてやってますね。(センターフォワードの永井)謙佑くんが追ってくれるので、連動できるポジションに入って、狙いを定めて立つということを意識しています」

「攻撃面では、広島戦のようにペナルティー・エリアの中に入っていくことを意識してやっていますし、自分よりも前でこぼれたセカンドボールを拾えるように詰めたり、こぼれてきそうなところまで追ったりしています。そのこぼれ球からは決めていないですけど、(広島戦のゴールにつながった)相手のDFとDFの間に入ってもらえたのは、あれこそインサイドハーフの受け方でした」

 橋本拳人が移籍、東慶悟が負傷で不在の中、「自分が引っ張っていかなければいけないという気持ちになりました」とメンタル面の成長も急上昇。「勝利に貢献できるプレーを、責任を持ってやりたい」と口調に重みも増して、青赤の金狼は湘南戦に向かうのだった。