上写真=川崎Fストップへ向けて、稲垣はワクワクしている(写真◎Getty Images)
「自信、結構あります」
「選手は疲れていても、できるところまでやりたいという気持ちでプレーしてくれている。だから、勝つ可能性が高い方法を取らなければならない」
マッシモ・フィッカデンティ監督はこう話す。稲垣祥はリーグ戦すべてに先発出場していて、フィールドプレーヤーの中では3番目に多いプレータイムを得ている。つまり「勝つため」の存在なのだ。
夏場の連戦で疲労がたまらないはずはない。稲垣も「もちろんゼロではないです」と認めるが、「フルコンディションでのパフォーマンスとまではいかないかもしれないけど、疲労がある中でやれることは何なのか、頭の中で整理してやるようにしています」。体がフルでなければ頭をフルに。
7連戦の7戦目は、首位の川崎フロンターレをホームに迎える。この4戦目、8月12日にもJリーグYBCルヴァンカップで対戦していて、2-2のドロー。もちろん稲垣はフル出場している。
「前回対戦した感覚はお互いに残っています。立ち位置やプレッシャーをかけてくるところでどこが空いてきて、どちらがそこを突けるかというゲームになると思います」
いわば、高度な頭脳戦になるというわけだ。チームの攻守を司る役割のボランチとしては、あらゆるところに目を配る必要がある。
「こちらは主導権を握りながら続けたいですけれど、立ち位置や空いてくる場所については、相手がフォーメーションを変えてくるかもしれないので、研ぎ澄ませながらやりたいです」
川崎Fは今季は4-3-3の並びで試合をスタートさせながら、状況次第で選手のポジションを入れ替えたり4-4-2にフォームチェンジしたりと自在だ。ベンチからの指示だけではなく、ピッチの中の選手が臨機応変に微調整を施してくる。前回対戦でもそうで、名古屋は対応に追われた。
逆にこちらが仕掛けていってもいい。「相手に対してどれだけシステムや立ち位置でミスマッチを作っていくかが大事になってきます」。こちらはベースは4-4-2のフォーメーション。どのチームも川崎Fの中盤の中央をターゲットに、その脇にもぐり込むことでバランスを崩そうとしていく。名古屋も狙っていくだろうか。
「もちろん川崎が勝っているのには理由あります。警戒すべきところは警戒しながらも、ワクワクした気持ちです」
「前回、しっかりやることをやれば自分たちのゲームになっていく感触を得たので、今回の対戦にあたっても自信、結構あります」
さあ、Jリーグ屈指のビッグマッチがやって来る。川崎Fを最初に止めるのは自分たちだ、のあふれる意欲を胸に、稲垣と仲間たちは豊田スタジアムのピッチに躍り出る。