浦和レッズがサンフレッチェ広島、ガンバ大阪と地力のあるチームを連破して上昇気流に乗ってきた。今季2度目の連勝を、続くヴィッセル神戸戦で3連勝にしたいところだ。大槻毅監督は好調の理由を「いい判断」と指摘する。

上写真=まさに「右肩上がり」な浦和。大槻監督は守備の迷いを取り除いた(写真◎Getty Images)

「いい状態で戻ってきてくれた」

 J1第11節のガンバ大阪戦に勝って、今季2度目の連勝。浦和レッズは6勝2分け3敗として、暫定4位に順位を上げてきた。第9節で名古屋グランパスに2-6という大敗を喫したあとの連勝で、きっちりとV字回復を果たしている。

 そのG大阪戦は3-1というスコア。大槻毅監督いわく「展開も良かったし、いい時間に追加点も取れた。一つ、すごいシュートで決められてしまったが、しっかりとやってくれた」と評価している。24分に関根貴大、34分にレオナルド、57分に武藤雄樹と確かにリズムよくゴールが生まれた。「すごい」と脱帽した失点は60分にCKから井手口陽介に叩き込まれた強烈なミドルシュートのことだが、失点もこの一つだけに抑え、相手のミスに乗じて決めきる力も見せた勝利になった。

 好調の要因は、守備への集中力にあると大槻監督は分析する。

「一つ一つの判断が良くなっています。前線に(守備の)スイッチを入れろと話しています。行け、と。行かない判断はないんです」

 中途半端な決断は全体を狂わせる。プレスを掛けないという判断がないのであれば、行くだけの話。迷いを取り除くことができているというわけだ。

 ベースにあるのは、チーム力の「底上げ」かもしれない。底上げといっても新戦力ではなく、大槻監督は経験豊富な2人の選手の名前を挙げる。ともに1988年生まれの武藤雄樹と宇賀神友弥である。

「武藤と宇賀神は立ち上げのところからケガがあって練習ができない時期が続きました。その時間を生かしてコンディションを整えて体を治して、いい状態でピッチに戻ってきてくれました。そこからチームのやり方にアジャストしてくれて、取り組みや姿勢、これまで積み上げてきたものがいま、生かされているのだと思います。全員がいいコンディションで臨むことができないときに総力が試されると言ってきましたが、その意味で2人がいいコンディションで戻ってきてくれてありがたいです」

 リーグ戦で言えば宇賀神はこの2試合で先発していて、同じポジションの山中亮輔と競い合うところまで戻ってきた。武藤はG大阪戦がリーグ3試合目の先発で、今季初ゴールが勝利を大きく引き寄せる3点目になった。相手のミスを逃さずに、ペナルティーエリアの中で冷静に左足で流し込む職人芸はさすがだ。

 次節はホームに戻ってヴィッセル神戸とのゲーム。「神戸は素晴らしいチームですが、自分たちのやりたいことにフォーカスしたい」「ホームで喜んでもらえるように頑張りたい」。確かに今季初の3連勝を見据えている。