前節、ヴィッセル神戸とアディショナルタイムのゴールで引き分けた鹿島アントラーズのザーゴ監督は、オンラインで取材に応じ、次節の19日の横浜FC戦に向けてポジティブなイメージを持ってゲームに臨むと強調した。

上写真=厳しい日程を乗り越えようと取り組む選手の姿勢を称えたザーゴ監督(写真◎鹿島アントラーズ)

相手のサッカーはさせず、我々のサッカーを徹底的にやる

 8月に入って以降の5試合はカップ戦も含め、3勝1分け1敗。リーグ戦に限れば、2勝1分けの負けなし。リーグ再開直後の戦いぶりと比較してプレーには躍動感が増し、成績も上向いてきた。その理由としてザーゴ監督が指摘したのは、戦術の理解が進んだこと。前節の神戸戦ではスタートからアグレッシブな姿勢を打ち出し、相手のビルドアップを寸断。一方でマイボールをしっかりつなぐ意識を示し、すべての時間ではないものの、鹿島が狙いとする戦い方がどういうものであるのかを示して見せた。

 それでも勝ち切れなかったことに課題はあるものの、「勝ち点を取れるようになった」と指揮官はチームの成長を評価する。また、17日の練習では負傷離脱中だった上田綺世も復帰。まだ部分合流ではあるが、戦力も整いつつある。

「今シーズンの日程を考えれば、どこのチームも同じだが、いかにして全員がゲームに関わりながら戦っていけるかが一つのポイントになってくる。私のマネジメントも重要なのですが、選手個人個人の意識というところも重要です。今、みんなが(厳しい日程を)乗り越えていこうとしっかりトレーニングをやっていますし、試合でもその姿勢を示しています。私が対戦相手によってわれわれの選手の特徴を考慮し、起用を決めるわけですが、常に全員が準備をしてくれています。ここ数試合で、勝ち点をしっかり取れるようになってきましたし、全員がチームのために、というところで力を発揮してくれていると思っています」

 明日、中2日で対戦するのは横浜FCだ。現役時代、ともに柏レイソルでプレーした下平隆宏監督が率いるチームに関して、指揮官はその特徴をこう分析した。

「リーグ戦やカップ戦で成長してきているチームだと思います。前節は後ろを4バックに変更し、少しやり方を変えていました。GKからしっかりビルドアップを狙うチームで、われわれはヴィッセル神戸戦と同様に相手に圧力をかけないといけないし、パスワークを寸断しなければいけない。前線には個の能力が突出した選手もいるので、そこも注意しなければいけないでしょう。
 ただ、重要なのは自分たちがやるべきことをしっかりやりながら、相手のサッカーをやらせないということ。その点を徹底的にやることです。その中ではもちろん、ミスを減らさないといけない。それができなければ、難しい状況に自分たちを追い込んでしまう。しっかり意識しながら戦おうと思っています」

 連日30度を超える暑さの中で90分間、相手にプレッシャーをかけ続けるのは難しいが、高い位置でプレスをかけつつ、ビルドアップを制限していくことにはなるだろう。それが指揮官が「神戸戦と同様に」という意図に違いない。

 相手は攻めに比重を置くチームであり、鹿島としては守から攻への切り替えで上回ってゴールへのルートも開きたいところ。相手の守備が整う前が狙い目だ。実際、横浜FCは攻めに転じた際にボールを奪われ、失点する場面が少なくない。

 その上で、気をつけなくてはならないのは、相変わらず減らないセットプレー時の失点だ。「突出した」スピードを持つ松尾佑介らに対して守備で後手に回り、自陣でファウルを犯してFKを与えて失点するのが最悪のシナリオになる。「監督のキャリアの中でもこれほどセットプレーで失点したことはない」と話す指揮官は、人に付くのか、ゾーンで守るのか、二つのミックスで守るのかを判断しつつ練習を重ねるとし、「相手よりも先に触る」意識が重要と強調。その点をもう一度確認して、横浜FC戦に臨むと言った。

 準備期間が相手よりも1日少ない中2日ではあるものの、勝てばトップ10入りも見えてくる。勝ち点の獲得は、マストだ。