北海道コンサドーレ札幌の福森晃斗がオンライン取材に応じ、15日の川崎フロンターレ戦で復帰を果たしたことについて、そして明日19日の大分トリニータ戦に向けての意気込みを語った。FKのスペシャリストは強い思いを胸に今、ピッチに立っている。

上写真=15日の川崎F戦で3週間ぶりに復帰した札幌の福森(写真◎J.LEAGUE)

6年目で初めての離脱

 2015年に期限付きで札幌に加入して以降(17年に完全移籍)、福森は不動の存在だった。無事これ名馬を地でいく活躍で、ほぼフル稼働。左足のキックの精度はリーグ屈指であり、これまでにもチームに幾多の好機をもたらしてきた。

 そんな福森が負傷したのは7月22日のFC東京戦(6節)だ。左ヒザを痛め、戦線離脱を余儀なくされた。そしてその間に台頭したのが、大卒ルーキー、高嶺朋樹である。福森の定位置である3バックの左に入ると、福森と同じ左足のキックで対角のパスを通し、鋭い縦パスで攻撃を加速させた。元来はボランチの選手だが、最終ラインからのビルドアップを重視するペトロヴィッチ監督のお眼鏡に叶っての起用と言えた。

 15日の川崎フロンターレ戦で復帰した福森は、離脱中に高嶺の活躍が刺激になっていたことを認めた。

「3週間も休んだのは札幌に来て初めてのことだったので、何をすればいいのかなと考えながらリハビリをしていました。札幌ドームの上から試合を見る回数も、札幌に来てからはあまりなかったので、違う角度から見てみて、自分が試合に出た場合に『こうしようかな』とか。
 自分の代わりではないですけど、(高嶺)朋樹が出ていたので、そのプレーも見ながら、彼は大卒ですけど球際のところとか、どう考えながらボールを奪いに行っているのかとか。そうことを考えながら試合を見ていましたね」

 若手の台頭を外から眺めながら、自身の強みは何かを考え、現在進行形で進んでいるチームの温度を感じ取ろうと努めていたという。

「焦りは正直、ありましたね。ポジションを奪われたくないという気持ちは持っていますし、自分がもし戻っても、試合に出られなかったらどうしようという不安もありましたし」

 ともすれば、札幌に加わってからの6年目で福森に初めて芽生えた感情だったかもしれない。思えばシーズン開幕前、野々村芳和社長は期待込めてこう言っていた。

「今年入った、大卒3人はいいですよ。昨季まで試合に出ていたからといって、自分が主力、自分は安泰と思っているような選手がいたらとって代わられるかもしれない。逆にそういう危機感が常に芽生える状況になったらチームはもっと強くなる」

 田中駿汰も、金子拓郎も、そして高嶺も、大卒ルーキーの3人はすでに札幌で存在感を示しつつある。一方でこれまで主力だった選手たちも、競争の真っ只中に身を置いていることを自覚する。野々村社長が期待した状況が訪れた。

 今季は過密日程であり、すでにケガ人も相次いでいる(入れ替わるように高嶺も右ひざを痛め現在離脱中)。つまりは多くの選手に出番が訪れる状況ではあるが、福森と高嶺の例だけではなく、チーム内の競争は日増しに激しくなってきた。川崎F戦で59分にベンチに下がった福森は言った。

「個人的には途中交代してしまったので悔しい気持ちがありますし、セットプレーも1本しかなかったですけど、その1本で流れを変えられるような、得点できるようなキックをしなければいけなかったと思っています。試合をこなせたということは次につながるかなと思いますが」

 復帰戦でも、結果を。自身の価値を示すプレーを。そのどん欲さは、チームにとってポジティブなものだろう。福森をさらに成長させる源であり、ひいてはチーム力を引き上げることにもつながるからだ。

「(川崎F戦の)負けはみんな悔しいと思いますが、その中でも得られるものもあったと思う。前半の球際の部分とか相手より走り勝つという部分は、今後も継続していきたい。大分戦は相手とミラーゲームになると思いますし、走るところがすごく重要になってくると思うので、そこは負けずに戦おうと思っています」

 明日19日の大分戦、福森は連敗を止めるべく、どん欲に復帰2試合目に臨む。