FC東京の長谷川健太監督が17日、オンラインで取材に応じ、チームの現状と、19日に敵地で臨むサンフレッチェ広島に向けた意気込みを語った。直近2試合では今季から採用する4-3-3システムが機能し、攻守に安定。指揮官は手応えを口にした。

上写真=名古屋戦で5試合ぶりの勝利を手にしたFC東京の長谷川健太監督(写真◎Getty Images)

締まった試合をしないと話にならない

 リーグ再開後、チームは主に二つのシステムを採用してきた。違いは中盤の構成で、ボランチを2人並べる4-2-1-3(4-2-3-1)とアンカーを採用し、その前にインサイドMFを並べて逆三角形を作る4-3-3だ。シーズンインから後者の運用を基本線にチーム作り進め、開幕戦にも採用。その狙いは攻撃に人をかけやすく、かつポゼッションに適しているからだ。

 しかし、その強みを最大限に生かせずにいた。さらに言えば、新システムのキーマンであった橋本拳人の移籍によって、採用そのものを考える必要も出てきた。

「拳人がいなくなるという情報が入ってから期間はあったので、(リーグの)中断明けはどうしようかということを考えました。中断前のアンカーシステムでやるのか、それともダブルボランチ的な3トップを生かしたような形でやっていくのか。拳人を軸に考えた形ではあったので、再考しなくてはいけなかったんですが、ダブルボランチもやりながらでしたが、アンカーシステムも実戦を通じてだいぶ落ちついてきた。それは非常に大きな収穫だったと思います」
 セレッソ大阪戦では引き締まった守備で相手の攻撃を抑え、 続く名古屋戦では守備の固さを維持したたま、攻撃へのスムーズな移行を実現して1-0で勝利を飾った。とくに名古屋戦はアンカーを務めた髙萩の両脇のスペースをインサイドMFの安部柊斗とアルトゥール・シルバが豊富な運動量でカバーし、3トップの両翼、右のディエゴ・オリヴェイラと左のレアンドロも自陣深い位置まで戻って守備を助けて、名古屋にほとんど決定機を与えなかった。

 大きな手応えを得た指揮官は次節の広島戦に向けても同様に攻守にアグレッシブに戦うと話した。

「広島も失点数も非常に少ないチームですから、締まった試合をしないと話にならない。それは名古屋戦と同様だと思っています。名古屋もセレッソも、非常にオーガナイズされたチームでしたし、広島もそうなので、われわれも、しっかり組織をもって戦わないといけないし、勝負にならないと思っています。そういう意味で攻守両面において、力を出せるかどうかだと思っています」

 指揮官の言葉は、裏を返せば力を出せたなら、勝ち点を取れるということ。その手応えを得て、自信を深める段階にまでチームが進んできたという意味でもあるだろう。

 むろん、夏場の連戦中であり、かつ相手の戦い方を考慮する必要もあるため、「ポジションによってはそんなに余裕のないところもありますし、状況を見ながら臨機応変に対応していかなければならない状況も出てくると思います」と指揮官は話したが、4-3-3が根付き始め、武器になりつつあるのは確かだ。

 アグレッシブな守備で広島からボールを奪ってゴールを陥れるーー中3日でも、FC東京は理想の形をピッチで表現するつもりでいる。